「掲示板に寄せられた質問について」
下記の回答は、IBDディスカッショングループの活動の一環として患者相互交流や医療スタッフとのディスカッションの中で、機会をみつけてお聞きした医学的な回答、また患者さんの体験に基づいたご意見などを併せまして、その内容をまとめて記載したものです。
あくまでも一つの意見として、ご参考にしていただけたら幸いです。

> 質問1
> 非特異多発性小腸潰瘍症は特定疾患ではありません。
> しかし同じような症状なんです。
> IBD(炎症性腸疾患)には、含まれるのでしょうか?
> 違いなどを教えていただけるとありがたいのですが。

非特異多発性小腸潰瘍症は、原因不明の疾患であり、広い意味でのIBDには勿論含まれていますが、一般的にはIBDというと潰瘍性大腸炎、クローン病の両疾患を意味する場合が多いようです(広い意味のIBDでは非特異多発性小腸潰瘍症以外にもいろいろな腸炎があります)。
症状はクローン病に似ているようですが、病変の特徴は異なっていて、主に小腸に多発性の潰瘍を形成するとのことです。クローン病との違いは比較的浅い輪状の潰瘍であることに特徴があるようです。
また、腸管の変形が強い場合には輪状狭窄を起こして閉塞症状を呈し手術になることも多いようですが、残念ながら再発することも少なくないとのことです。臨床検査データとしては慢性の出血を反映した貧血、低蛋白などが特徴で、CRPなどの炎症所見が上昇することはあまりないようです。
基本的に粘膜に炎症を起こす疾患でないこともあり、副腎皮質ステロイドやペンタサといった薬剤も無効なことが多いとのことですが、栄養療法はある程度有効性がありそうです。
特定疾患に入っていないのは、本当はおかしいのですね。しかし、実際には非特異多発性小腸潰瘍症と確実に診断する診断技術を持っている施設もそんなには無いとのことです。
疾患としては稀なため、実際にはあまり認識されていないことがほとんどで、多くは突然腸閉塞や出血で手術されて、手術した腸を調べた後で診断されるというようなケースが多いというのが現状のようです。
慶應でもはっきり非特異多発性小腸潰瘍症と診断して診ているのはほんの数人だと聞いています。

参考のサイト
非特異多発性小腸潰瘍症(患者さんのサイト)
http://homepage2.nifty.com/ranko3/index.htm

> 質問2
> 慶応でもIL6の臨床試験が始まったとうわさで聞きましたが、本当でしょうか?
> このIL6の適用(対象)はやはりレミケードと同じなんでしょうかね。
> (抗TNFα抗体(レミケード)とIL6との効果の違い、適応などもふくめて)

正式にはIL-6RA(可溶性IL-6リセプター抗体)といわれ、もともと臨床試験はリウマチが先行してして進められていましたが、クローン病でも現在、二重盲検試験が進行中で、もちろん慶應でも参加しているとのことです。
「対象はクローン病の活動期にある方で、同時にリウマチでも臨床試験が進行中されてます。抗TNF-α抗体との違いは、IL-6を直接中和するのでは無く、血液の中を流れている、可溶性IL-6の受容体(リセプター)に結合することによって、IL-6がその受容体に結合するのを防ぐものです。
クローン病やリウマチでは、IL-6が増加しているだけでなく、可溶性IL-6リセプターが増加しています。普通ならIL-6リセプターを持つ細胞だけにIL-6が作用しますが、可溶性IL-6リセプターが増加していると、IL-6リセプターを持っておらず普段ならIL-6に反応しない細胞にまで、IL-6の作用がおよび炎症を起こしてしまうので、これを阻止しようというものです。いうなれば過剰になっている反応だけ抑えて、本来の働きはあまり抑えないとする、理論的には非常にすぐれもので、臨床試験の結果が出るのを楽しみにしています。」とのことでした。
なお、IL-6は大阪大学の伊藤裕章先生のチームが開発した療法であり、「純日本性ということ」も特記すべき点だとおもいます。

アイエルシックスに関係した記事
http://www.igaku-shoin.co.jp/04nws/news/n2000dir/n2388dir/n2388_02.htm

> 質問4
> 現在、潰瘍性大腸炎で入院しております。サラゾピリンを10間服用したところ全身に小さな赤い発疹と高熱〔39度前後〕が出ました。> すぐに服用を中止しましたが、熱、発疹が治まらず4日目に大量のステロイド剤を投与することにより症状が緩和しました。
>このようなサラゾピリンの副作用があるのでしょうか。副作用が出る前には、サ ラゾピリン6錠〔1日)ムコスタ3錠〔1日)リンデロン座>薬〔夜1錠)を服用してお りました

他の原因も否定できませんが、やはりサラゾピリンによるものと考えるのが妥当ではないでしょうか。
サラゾピリンは潰瘍性大腸炎の患者さんや大腸型のクローン病の方には非常に有用な薬剤ですが、このようなアレルギー反応を起こした場合には中止したほうがよいと思われます。
サラゾピリンの成分のうちスルファピリジンに副作用が多いとされており、これを含まない有効成分であるペンタサ(5-アミノサリチル酸製剤)を、用心しながら始めることがよいかもしれません。
もちろんペンタサによる副作用であれば、この系統の薬剤は使えないことになるかもしれませんが。
なお、どうしてもこの系統の薬剤を必要とする場合には、ごく少量から初めて、徐々に増やして行くことによって、アレルギーを防ぐ脱感作療法という方法も、試みる価値があるかもしれません。このような方法で慶應でもうまくいった事例の経験があるとのことです。

質問5
> 海外赴任中で当地のDr.から治療を受けています。 1ヶ月前から再燃し、プレドニン80mg/dayからスタートして現在60mg/dayを
>服用中ですが改善がみられません。
> UC以外にも血糖値がもともと高いこともあり、血糖値 を下げる薬も併用しています。
> Dr.からはこのままプレドニンを大量につづけるよりも血糖値のコントロールのためにも免疫抑制剤を使うべき といわれていますが、
> 副作用をさけるため厳密な血液検査が必要なこと、子供をつくつことはあきらめること といわれました。
> 副作用については色々あること承知していましたが、子供はできないというのは寡聞にしてしりませんでした。
> 私は男性ですが、免疫抑制剤によりそのような副作用があるのでしょうか?

急性期で重症の方のようですから、現地のDr.が考えている免疫抑制剤はシクロスポリンではないでしょうか。
勿論、使用中の受精は避けるべきだと思いますが、一度でもシクロスポリンを投与された患者さんが、その後子供さんが出来なくなるという報告は無いようです。
ただ、長期的にみた子供さんへの影響があるか否かは、まだわかっていないのが実状のようです。一般的jには投与が終了すればシクロスポリンそのものは数日以内には体内からはクリアされるはずとのことです。
免疫抑制剤の長期投与についてはまだデーターが少なく不明な部分も多いようです。
一つの考えられる意見としては、もし薬剤や放射線などで精子に傷が付いたとすれば、その精子が激しい競争を勝ち抜いて卵子にたどり着き受精するのは、とても困難なことではないかということです。
無論、何事についても絶対大丈夫という保証ないと思いますが、一生子供さんを作っていけないということはにはならないと思います。もちろん、女性の場合には、妊娠早期の受精した卵子が細胞分裂を繰り返す時期に薬剤や放射線を受けるのは絶対避けるべきですではないでしょうか。

このテーマについては、2001/9/23の勉強会の話題でもありましたので、講演録を近々アップする予定です。
乞うご期待ください。

                                                          


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