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☆図書館にでも行きましょうか。☆
☆図書館にでも行きましょうか。☆


 最近ロクに更新していないので、又新たなコンテンツを立ち上げたりして。
 万年金欠な小手鞠萌はよく図書館に行く訳ですが、そこでよく借りる本の中でも、面白かったり資料としてなかなか良い物を紹介するコーナーです(安上がり)。
 因みに基本は“十九世紀”。本物のメイドさんが生きていた時代っすね。でも読んでいる本、かなり偏りあり過ぎです。しかも実はあんまり小説読まない事、バレバレ。大層なもんでは無いけれど、ある意味“裏ヴィクトリアン・ガイド”かも(^_^;)。


第一回〜第十回第十一回〜第十五回第十六回〜第二十回
第二十一回〜第二十五回第二十六回〜第三十回第三十一回〜第三十五回
第三十六回〜第四十回第四十一回〜第四十五回第四十六回〜第五十回
第五十一回〜第五十五回第五十六回〜第六十回/第六十一回〜第六十五回/
第六十六回〜第七十回第七十一回〜第七十五回第七十六回〜第八十回
第八十一回〜第八十五回第八十六回〜第九十回第九十一回〜第九十五回
第九十六回〜第百回

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資料をまとめてみました。
→メイドさんに関する資料・一覧表


第六十五回(2005.06.05現在)
マーク・ジルアード/著、森静子・ヒューズ/訳
『英国のカントリー・ハウス(上)』住まいの図書館出版局(住まい学大系)

マーク・ジルアード/著、森静子・ヒューズ/訳
『英国のカントリー・ハウス(下)』住まいの図書館出版局(住まい学大系)

 荘園領主や貴族の住まい、カントリー・ハウス。田舎の荘厳なお屋敷は英国社会の縮図であると共に、生活様式の変遷を今に伝える貴重な建物でもある。中世から二十世紀に至るカントリー・ハウスの変遷を綴った書籍。
 メイドさんと言えばお屋敷、英国のお屋敷と言えばカントリー・ハウスと言う訳で、カントリー・ハウスがどの様なものかを紹介した書籍です。中世頃のカントリー・ハウスでは、家事奉公人は殆どが男性であり成り上がる為の手段であった事、それが十七世紀に中流階級が台頭し出した頃、家事奉公人の男女比率が逆転し初め、使用人達は雇用者の居住区から引き離された事が分かります。又、十九世紀の使用人の役割なども少しだけですが紹介しています。
 因みに、第六十回で紹介した『楽園都市バース』で取り上げられていたクィーンズベリー公爵夫人の話が下巻で紹介されています。

角山榮+川北稔/編『路地裏の大英帝国 イギリス都市生活史』平凡社(平凡社ライブラリー)
 産業革命を達成した十八〜十九世紀のイギリスの、工業化と都市化に伴う生活様式の変化を、様々な視点で論じた書籍。
 ヴィクトリア朝イギリス生活史の古典的作品の新書版。解説によれば、この本が出る以前は和書でイギリスの歴史と言えば政治経済などの正統派ばかりだったものが、以降生活史の書籍の割合が増えていったそうです。ヴィクトリア朝という時代を理解する為の必要最低限の知識が詳しく書かれている為、非常に為になります。
 メイドさんの情報は河村貞枝『6 ヴィクトリア時代の家事使用人』に詳しく紹介されています。初っ端からモニカ・ディケンズの半自叙伝的小説『なんとかしなくちゃ』をネタにしています。

J・L・フランドラン、森田伸子+小林亜子/訳『フランスの家族 アンシャン・レジーム下の親族・家・性』勁草書房
 十六世紀から十八世紀頃のフランスに於ける『家族』とは一体何か、その構成と意味の変遷を論じた書籍。
 近世から近代に移り変わる頃の“旧制下”フランスの家族論を論じていて、近世までは奉公人は家族の一員として数えられていた事、時代を経るに従い血縁関係にある親族と雇用関係にある奉公人との区別が付けられる様になっていった事など、使用人に対する意識が激変した時代の家族観がどの様なものか分かります。当時の告解師用手引書には、十六世紀頃では使用人の罪に関する記述が主人のものよりも多く書かれていたのに対し、十八世紀に入るとほぼ同じ数になるなど、モラルに対する関心が深くなっていった事が伺えますが、どうやらこのモラルへの関心が、上記の家族観の変化に関わっている様です。
………………
 ほとんどあらゆる所で内縁関係にある者たちは告発され破門された。一七世紀には彼らは事実上存在しなくなった。依然としてその私生児を公然と育てることができたのは王侯と大貴族だけであった。ルイ十四世でさえも、一七世紀も末に近い頃、彼の最後の内縁の妻であるマントノン夫人と秘密のうちにも正式の結婚をしようと決心したのである。勇敢なアンリ四世なら彼の愛した女性たちと――彼女らがかなり高い身分の女性であったにもかかわらず――結婚しようなどとは決して思わなかったであろう。ブルジョアや裕福な農民たちも、下女を妊娠させた場合、かつてのようにその子どもを育てようとはせずに、家の戸口に捨てさせた。それは貪欲のためというよりはスキャンダルを恐れてのことだったのである。(『第4章 家族の生殖機能と性生活』の『2 生物学的生殖システムの実態』の中の『内縁関係から子捨てへ』より)
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 ヴィクトリア朝ものの話でもよく聞く『妊娠して解雇され転落した元メイド』の話は、十七世紀頃から始まった様ですね。


第六十四回(2005.05.29現在)
U・T・J・アークル/著、松村昌家+森道子+新野緑+島津展子/訳
『イギリスの社会と文化200年の歩み』英宝社

 近代イギリスを世紀毎に分けて論じた書籍。十八世紀、十九世紀、二十世紀の各世紀の歴史と生活を簡単に紹介しています。
 訳者後書きで『一般的な歴史書ではなく、文字どおり手づくりの、実感的イギリス民衆の生活史』と書かれてある通り、当時の人々がどの様な時代背景で生活を送っていたのかを簡単に紹介しています。どちらかと言うと初心者向け。メイドさん関係は『第二部 十九世紀』の『第八章 ヴィクトリア朝の生活様式』の中の『召使い』で取り上げられています。
………………
 女中はまた、寝室用便器の中身を空け、暖炉の火をともし、灰を掃除し、黒鉛でレンジと炉を綺麗にし、部屋の埃を払い、掃除をし、床を磨き、ベッドを整え、靴や真鍮や銀製の器を磨き、衣服の洗濯、繕い、つぎあてをする。じゃがいもの皮をむき、豆を薄切りにし、食器を洗う。召使いが二人いる場合は、一人が普通台所で働き、もう一人が家のほかの場所を担当する。召使いが多ければ多いほど、彼らの仕事は専門化された。(『第二部 十九世紀』の『第八章 ヴィクトリア朝の生活様式』の中の『召使い』より)
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 メイドさんの多忙さが伺えます。

ライザ・ピカード/著、田代泰子/訳『18世紀ロンドンの私生活』東京書籍
 1750年当時のロンドンは、ヨーロッパ最大の都市だった。1740年から1770年に掛けてのロンドンの日常生活の実態を生き生きと描き出した書籍。
 原題である『ジョンソン博士のロンドン』の通り、1755年に有名な辞典を出版したジョンソン博士が生きていた頃の、十八世紀中葉のロンドンの日常生活を調べ上げた書籍です。非常に沢山の事柄を事細かく調べ上げ紹介しており、資料性の高い一冊になっています。文章も生き生きと当時を描き出していて、読み物としても面白いです。著者は元々弁護士だったのですが、定年後市井の人々の暮らしに対する関心から、様々なリサーチを元に独自の生活史の書籍を次々に出版しています。本書はその第二段。
 メイドさんに関する情報は『第13章 奴隷、召使い、家事奉公』の中で紹介されています。他の章に比べてやや扱う量が少ないのですが、メイドさん達が当時どの様な生活を送っていたのか、具体的にどの様な仕事をしていたのかが書かれてあり、充分に十九世紀のメイドさんと比較する事が出来ます。
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 ハナ・グラースの『召使いの心得』Servant's Directoryによれば、女中のすべき第一のことは、「朝とても早く起きて……コルセットの紐をよく締め、身に着けている物をすべてピンできつく留めること。さもないとしっかり働けません」。準備ができたら、きつくピン留めされた哀れな女中は、家事をする旋風と化す。わたしたちがたまに気になったときするような細かなことを、毎日、ぜんぶして、さらにそれ以上をした。(中略)(『第13章 奴隷、召使い、家事労働』の中の『女中』より)
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 又、別の章では、キャップ(モブキャップの事)に付いてのくだりがありますが、それによると、よくキャップに付いている帯状の飾りの事を『ラピット』と言うそうです。

アガサ・クリスティー、宇野利泰/訳『ポケットにライ麦を』早川書房
 ポケットにライ麦を詰めて歌うは街の唄……ニール警部は、突然奇妙な節を付けて童謡を歌い出したミス・マープルを呆気にとられて見つめた。それは投資信託会社社長のフォテスキューの死と奇妙に符合していたのだ! 毒殺の状況から警察は、容疑者を家庭内の人間に絞った。そして第二、第三の連続殺人は、正にマープルの口ずさんだ唄そのものだった! マザー・グースに材を取った多くの作品中で燦然と輝く中期傑作長篇。
 『エマ ヴィクトリアンガイド』で紹介されていた事でメイドスキーの間でも有名な、アガサ・クリスティー作の推理小説。初出は1953年。一種のお屋敷ものだけに、メイドさんが数人出てきます。若く魅力的な家政婦のメアリー・ダブを初めとして、ちょっとおつむの足りない小間使いグラッディス・マーティン、料理人のクランプ夫人、少々年季の入ったハウスメイドのエレン。特に思わせぶりな家政婦メアリーと、かつてマープルの元でメイド奉公をしていた小間使いグラッディスは印象深いでしょう。『ポケットにライ麦を』のマザー・グースに喩えられて殺されるメイドがこのグラッディスで、最後にマープル宛で届く手紙は『エマ ヴィクトリアンガイド』でも紹介された通り、涙を禁じ得ないです。


第六十三回(2005.05.22現在)
A.ブリッグズ/著、村岡健次+河村貞枝/訳『ヴィクトリア朝の人びと』
ミネルヴァ書房(MINERVA西洋史ライブラリー)

 1840年代と1880年代の二つの激しい闘争の時代に挟まれたヴィクトリア中期。繁栄と安定の時代から独特な文明が誕生した。明晰な思考が衝動や偏見より大事にされ、独創に富む思想を競い合った時代であった。本書は、研究される事の少なかったヴィクトリア中期に光を当て、その社会全体を同時代人が捉えたまま鮮やかに映し出す。
 と言う訳で、ヴィクトリア朝中葉の歴史に付いて論じた書籍です。水晶宮から始まりディズレーリに終わる中期の歴史は、様々な思想やイデオロギーが存在していました。結構詳しく書かれてあるので、読んでおくと良いかも知れません。

H・G・ウェルズ、井上勇/訳『宇宙戦争』東京創元社(創元SF文庫)
 謎を秘めて妖しく輝く火星に、ある夜、白熱光を発するガス状の大爆発が観測された。これこそは6年後に世界を驚愕させる大事件の前触れだった。ある晩、英国諸州の人々は夜空を切り裂く流星群を目撃する。やがて大音響と共に落下した未知の物体から現れた奇怪な生物。想像を絶する火星人の地球侵略が始まったのだ! SF史に燦然と輝く、大ウェルズのあまりにも有名な傑作。
 非常に有名ながらも、以外と皆がその内容を知らないでいる、ウェルズのSF小説。初出は1898年で、この頃火星を観測して運河らしきものが発見され、そこから火星に生物がいるかも知れないと言われていました。それを元に書かれたのがこの小説です。ロンドンを初めとして、火星人に襲撃されるイギリスの都市の情景が詳しく書かれており、当時の最先端の科学知識とも相まって面白いです。でも大量虐殺なんですが。

ジュール・ヴェルヌ/作、朝比奈弘治/訳『地底旅行』岩波文庫
 十六世紀の錬金術師の謎の文字を苦心の末解読してみると、そこにはアイスランドの噴火口から地球の中心に達する事が出来ると書かれていた。これが十三週間に及ぶ地球内部への旅の始まりになった。ヴェルヌの最高傑作の誉れ高い作品。
 こちらはフランスの有名なSF作家の作品。初出は1864年で、十九世紀の頃は、地球は中空で、その中に別の世界があると言われていました。それをモチーフとしたのがこの小説です。謎の書物の暗号解読に始まり、アイスランドの風景、そして噴火口から地球の内部へと至る旅路がしっかりと書かれています。只、科学的な装いをしていますが、思想的哲学的な印象が強く、SFと言うよりもむしろファンタジーに近いです。
 主人公やその叔父の家で働いている雑役メイドさんが登場しますが、最初と最後にちょこっと出てくるだけのちょい役な上、老女なのでちょっとアレ。


第六十二回(2005.05.15現在)
トルストイ/作、中村白葉/訳『復活(上)』岩波文庫
トルストイ/作、中村白葉/訳『復活(下)』岩波文庫
 貴族社会の安逸と虚偽に生きるネフリュードフ公爵。ある日、陪審員として出頭した法廷で目撃したのは、十年前の復活祭の夜、情熱の赴くままに誘惑し捨て去った娘カチューシャ、今は殺人窃盗の罪で裁かれる娼婦マースロワの姿だった……晩年のトルストイが芸術家として、又求道者としての全てを投入した大作。
 “カチューシャ”の語源となったヒロイン・カチューシャは元メイドです。拾われた先の養母二人から半分お嬢様、半分小間使いとして育てられ、娼婦に転落する事になったのも、養母の甥に言い寄られて捨てられ(それが若い時のネフリュードフ公爵)、暇を出されて別の屋敷にメイド奉公に出て、またもやその先の坊っちゃまに言い寄られて妊娠……と、典型例な話から始まります。メイド関係では上巻が面白いのですが、下巻は観念的な話になってしまい萌えません。
 面白げな部分を引用します。
………………
 ネフリュードフはカチューシャを見た最初の日から、彼女にたいして昔どおりの気持ちを感じた。以前そうであったように、今も彼は、カチューシャの白いエプロンを、胸をおどらさずに見ることはできなかったし、彼女の足音、彼女の声、彼女の笑いを、喜びなしに聞くこともできなかった。なお彼は、彼女の黒い、濡れた黒苺のような目を、とりわけそれがにっこりとえみを含む時にはことさら、感動なしに見ることができなかったし、それよりなにより、彼と会うたびにぽっと顔を赤らめる彼女を、心の動揺なしに見ることはできなかった。(中略)(上巻『第一篇』の『14』より)
………………
 トルストイは白エプロン萌え。

川北稔『イギリス 繁栄のあとさき』ダイヤモンド社
 経済学的な視点から近代イギリスを論じた書籍。
 近代イギリスを経済学という一風変わった視点で論じています。産業革命以降急速に勃興し、十九世紀末頃から衰退し始めた近代イギリスが、どの様な歴程でそうなっていったのかを、当時の文化を交えて述べられています。製造工業を有する北部は一度も実験を握った事は無く、広大な土地を持つ地主とシティの大商人・金融業者、つまり南西部の人間がイギリスを支配しており、事実上産業革命は少しも『産業革命』では無かった事など、とても興味深い事が書かれています。
 メイドさん関係では『第2章 「ジェントルマン資本主義」の内側』の『10 誰が老親を養うのか――近世イギリスの救貧パラノイア』に年季奉公制度に付いて述べている箇所がある位です。ここでは“家族”に付いて論じており、当時の生活がどの様なものか分かります。

山田史郎+北村暁夫+大津留厚+藤川隆男+柴田秀樹+国本伊代/著
『近代ヨーロッパの探究@ 移民』ミネルヴァ書房

 十九世紀後半以降、国民国家の編成を進め、同質的な国民の創造を追求する近代西洋社会は、国境を越えて移動する移民にどの様に対応したのか。又移民は、出身地と移民先に於ける国家的統合の元で、どの様な生活世界の形成に努めたのか。従来のプッシュ・プル要因では捉え切れない移民現象を送出国と受容国の双方から研究し、移民を移住戦略の主体として描いた書籍。
 十九世紀は移民の時代と言われていた訳で、メイドさんのなり手であった貧しい階級の女性達もその例に漏れず、移民先で奉公に上がっていました。藤川隆男『大洋を渡る女たち――一九世紀オーストラリアへの移民』では、流刑によって移住させられたアイルランド系の女性囚人の職業の内訳が、圧倒的多数で農業サーヴァント又は家内奉公人だったと言う事、そんな彼女達の半数が初犯で、衣類や繊維製品の窃盗だったと言う事、盗んだものよりも流刑船の中で与えられた衣服の方がしばしば上等だった事など、当時のメイドさんが貧困の中で苦労していた様が伺えます。
………………
 (中略)そもそもイタリアからの移民は男性が単身で移民するケースが圧倒的多数を占めていた。ジェノヴァ周辺では単身の女性が家事奉公人として南仏などに向かう事例が存在したことは事実だが、その場合でも未婚女性が従事することが一般的であり、既婚女性が単身で移民することはきわめて例外的であった。(『コラム 移民をめぐる考察1 エドモンド・デ・アミーチスと移民』より)
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 国から国へと渡って歩くメイドさんは、当時結構な数存在していた様ですね。


第六十一回(2005.05.08現在)
アリス・ベーコン、矢口祐人+砂田恵理加/訳『明治日本の女たち』みすず書房(大人の本棚)
 女子留学生、山川捨松のホストファミリーとなった縁で津田梅子を知り、少女時代から日本への憧憬を育んだアメリカ女性である著者は、1888年と99年に日本を訪れ、華族女学校や東京女子高等師範学校、後には女子英学塾でも教鞭を執った。封建時代が去って、女性を取り巻く環境も考え方も激しく変わりつつあった時代に、宮中の高貴なあたりから華族の上流夫人、都会の中流家庭の主婦、農婦、女学生まで近しく触れ合った著者が捉えた明治日本の女性達を書き連ねた、旅行記に終わらない、日本論・日本女性論。
 明治時代の日本女性の生活を、アメリカ人女性が書き記した書籍。上流から下層に掛けて、様々な階級の女性に付いてをアメリカ人の視点で書かれてあり、非常に面白い一冊。メイドさん関係は『11 召使いの生活』が該当します。又、『1 子ども時代』の注では、家族と同名の召使いは一時的に名前を変えられてしまうという事も載っています。
………………
 小説『小公子』のなかで、ある召使いが若い主人のとんちんかんな発言を聞いて思わず吹き出してしまったため、あやうく解雇されそうになる場面がある。私の生徒たちは英語の授業でこの箇所を読んでとても驚いていた。欧米の召使いは主人の会話にいっさい興味を示してはならないどころか、内容を知っているそぶりすら見せてはいけないし、いかなる状況においても話しかけられない限り、口を開いても、ほほえんでもいけないということに仰天していた。特定の身分の人間にそのような野蛮な制限を課す欧米の文明とはいかがなものかと、この賢い少女たちは考えていたに違いない。
 家の中で働く女中は、アメリカにいる今どきの「女の子」ではなく、かつてのニューイングランド地方の家にいた古風な「お手伝いさん」に近い。今日のアメリカでは、女主人は居間で何もしないで過ごしている。一方、召使いは一日中働いて、仕事を終えると嫌なことは忘れようと、仲間に会いにさっさと外出してしまう。召使いという辛い仕事に我慢できるのは、高い賃金を手にして、自立した生活をおくれるからである。ところが、先の章でも述べたように、日本ではお屋敷暮らしのお姫様であろうが、貧しい農民であろうが、女主人は召使いのお頭なのである。どうしても時間が足りないときや、難しい力仕事のときだけ、誰かに手伝ってもらう。つまらないことでも夫や子どものための仕事は、妻であり母でもある女主人が手ずからしなければならない。よほどやむを得ない事情がない限りは、他の女性に頼もうとしない。だから、女主人と女中の生活には、今のアメリカで見られるような隔たりはない。召使いは女主人をあらゆる面で助けながらともに働き、家族と同じとまではいわないが、その家の重要な一員とみなされる。(『11 召使いの生活』より)
………………
 欧米のメイドさんと日本の女中さんの違いがよく分かりますね。

ディヴィド・ヴィンセント/著、川北稔+松浦京子/訳
『パンと知識と解放と 19世紀イギリス労働者階級の自叙伝を読む』岩波書店

 十九世紀初頭を中心に、産業革命期の労働者階級の生活を、彼等の自叙伝から抜き出して論じた書籍。
 メイドさんが属している労働者階級が、どの様な知的生活を送っていたのかを論じた書籍です。読み書きは必要最低限で綴り間違いも多く、家に本はあるもののそれらは全て聖書関係が数冊と、それでも労働者階級の人々はそれなりに知的な生活を送っている様が伺えます。
 メイドさん関係は殆どありませんが、その僅かなものを引用します。
………………
 (中略)地方によっては、雇用状況が早婚の障害であった。徒弟は年季奉公契約があるうえ、収入も少なく、おそらくは親方からの規制もあって、結婚しにくかったはずである。しかし、それでも徒弟は、住込みの農業サーヴァントや家事奉公人に比べれば、はるかに自由であったといえよう。農業サーヴァントや家事奉公人の雇い主にとって、彼らの恋愛などというものは、せいぜい気もそぞろになって、仕事を全面的に怠けることになるだけだというので、ひどく嫌われたものである。奉公人には、プライヴァシーを持つ機会もなければ、まして雇い主の意向に逆らうすべもなかった。ビル・Hは、サフロン・ウォールデン近くで農業サーヴァントとして働いているとき、主人の妻の家事奉公人と恋をして解雇された。しかも、それでもふたりの仲が続いたので、少女の方も解雇されてしまったのである。都市も農村部も含めた労働者階級全体の平均に比べて、目立って晩婚である被雇用者集団といえば、「住込みサーヴァント」をおいてほかにないことは、マイケル・アンダソンが明らかにしたのだが、考えてみればそれも驚くにはあたらない。(『第2部』の『第三章 愛と死』の中の『(二)』より)
………………
 メイドさんは晩婚が多かった様ですね。

ジョアナ・ストラットン、井尾祥子+当麻英子/訳『パイオニア・ウーマン 女たちの西部開拓史』リブロポート
 アメリカ西部に於ける中流階級の女性達の生活を記した書籍。
 十九世紀のアメリカ西部で女性がどの様な生活を送っていたのかがよく分かります。但し、著者の曾祖母の聞き取りを元にしている為、中流階級ばかりに片寄りが出ていて、メイドさんなどといった下層の女性はあまり出てきません。
 その代わり、当時の写真は豊富に紹介しています。その中の一枚に『1870年、仕事の手を休めて、隣人のメイ・テリーとポーズを取るマギー。』という題名のものがありますが、その中でフリルで飾られた肩紐のみのサロペットエプロン(黒?)をしている写真があります。ぶっちゃけアンミラ風。当時そんなエプロンがあったんですね。


第一回〜第十回第十一回〜第十五回第十六回〜第二十回
第二十一回〜第二十五回第二十六回〜第三十回第三十一回〜第三十五回
第三十六回〜第四十回第四十一回〜第四十五回第四十六回〜第五十回
第五十一回〜第五十五回第五十六回〜第六十回/第六十一回〜第六十五回/
第六十六回〜第七十回第七十一回〜第七十五回第七十六回〜第八十回
第八十一回〜第八十五回第八十六回〜第九十回第九十一回〜第九十五回
第九十六回〜第百回

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資料をまとめてみました。
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