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「倉庫からワインをとってきてくれないか」

裕也君はそうお父さんに頼まれました。裕也君は倉庫が嫌いでした。だってそこは暗くて、なんだかほこりの臭いがするし、第一、どこからか冷たい風が吹いてくるような気味の悪いところだったからです。

でも、お父さんは久しぶりにお客さんを迎えて上機嫌、お母さんもお客さんのために料理を用意して忙しそうです。

仕方なく裕也君は倉庫に向かいました。
ドアを開けて中に入りました。

そこはちょっとした地下牢のようになっていて、ワインをとるためには小さな階段を数段下りなければなりませんでした。

中は薄暗く、目が慣れないうちは手探りで進まなければなりません。

ギギギー

裕也君のすぐ後ろでドアのきしむ音がしました。パタン。
倉庫のドアが閉まったのです。

「ドアはなぜ閉まったのだろう」。裕也君は考えました。
「僕は倉庫のドアを閉めなかった。だから、ドアは自然に閉まったのだ。誰かが僕を脅かそうとして、ドアを閉めてしまったのだろうか。そんなはずはない。そんないたずらをする人はこの家にいないのだ。
 だから、ドアは自然に閉まった。風邪が閉めたのだろうか。そんなことを考えるより、早くくワインを取りに行こう」

そう思って、裕也君は又一歩足を踏み出しました。
3、

ゴロン、足先にふれた物があります。

「しまった、ワインの瓶を転がしてしまった。


そう、裕也君は思いました。

「でも、待てよ。ここは落ちついて考えなければ。
僕は何もふれていない。ただ、足を一歩踏み出しただけだ。その足先にワインがふれたと言うことは、ワインの瓶がそこにおいてあったと言うことだ。誰がそこにおいたのだろう、それはわからない。とにかく、ワインの瓶を倒したのは僕だ。僕の足先にふれて、ワインの瓶が倒れたのだ」

裕也君はひざまづき、倒れたワインの瓶を観察しました。暗闇にも目が慣れてきました。

みると、コルクの栓が抜けて、中からワインがこぼれていました。赤ワインです。

トクトクトク・・・

こぼれたワインは床を伝い、そばにあった白い布きれを赤く染めていきました。

みるみる布きれは赤く染まっていきます。ワインの色に染まっていきます。

裕也君は探偵にもなったような気分で考え込みました。

「目の前にある布は赤く染まっていく。白い布は赤いワインの色によって染められたのだ。
では誰が赤く染めたのだろう。それはワインをけ飛ばした僕なのだろうか。いいや、違う。け飛ばしただけなら、ワインが倒れるだけだ。きっと誰かがコルクの栓を抜き、さらに誰かがけ飛ばすように、床にワインの瓶をおいたのだ。

そうに違いない。それはいったい誰なのだろう。白い布は赤いワインに染まったが、染めたのは僕ではない。誰かがワインに染まるようにし向けたのだ。

うーん、これは謎だ。

裕也君は染まった布と染めたワインを見比べながら、すっかり考え込んでしまいました。

倉庫の外では、お父さんが大声を出していました。

「おーい、裕也、ワインはまだか」

この倉庫の謎を解くカギは、光村図書国語・5年生上、73ページにあります。








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