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ヴァルター・モルゲンターラー (Walter Morgenthaler)
1882年生 − 1965年没

 1908年からベルン近郊のヴァルダウ精神病院にインターンとして勤務。1913年に正規の医師となり1919年までヴァルダウに勤めた。モルゲンターラーの精神科医としてのバックグラウンドはドイツ近代精神医学の基礎を築いたクレペリン(1908年には短期間であるものの実際に彼のもとで学んでいる)とオイゲン・ブロイラーである。ちなみに『精神病者の芸術性』を執筆したプリンツホルンもブロイラーの影響下にあった。
 1913年頃、病院の近くにはヴァルダウ精神病院やスイス精神医学協会のメンバーが他の病院から集めた精神障害者の造形作品を展示する小さな美術館があった。この美術館に出会ったことから精神障害者の芸術性に関心を抱くようになる。1895年からヴァルダウに入院していた「偉大なる患者」ヴェルフリについて知ったのもその頃である。
 1921年、 モルゲンターラーはヴェルフリの生涯とその作品、そして彼の病歴と作品内容について分析と仮説をつづった『芸術家としての精神病者』を刊行。彼はフロイトの精神分析に精通していたわけではなかったが、本書の執筆に影響したのは、フロイトが1910年に発表したレオナルド・ダ・ヴィンチの研究であると語っている。プリンツホルンには美学や美術史を専門に学んだ経験があるが、モルゲンターラーにはそれが欠けている。しかし、彼の弟エルンストは画家であり、兄弟でヴェルフリの作品について議論したという。
 なお、フリードリッヒ・ニーチェの愛人で自らも哲学者だったルー・サロメは詩人のリルケから 『芸術家としての精神病者』を贈ってもらいヴェルフリの作品に驚嘆し、フロイトに本書を紹介している。
 モルゲンターラーはその後も1942年まで精神医療と芸術の関係性にまつわる書物をいくつか執筆している。

参考文献 : The Discovery of the Art of Insane

 

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