
2009年5月31日の朝明日香は手錠を掛けられて小松川警察署を出て楽しいバスツアーに出かけた。行く先は山梨県都留市の山奥にある女子学問所で片道限りのバスツアーである。
「しばらくシャバの景色も見られないだろうからじっくりとまぶたに焼き付けておくんだな」
と教育Gメンが皮肉たっぷりに言う。明日香は生れ育った江戸川区の町をもう見ることもないのかなと思うと悲しくなり涙が出た。車は小松川ランプから首都高速に入ると都心を抜け4号線から中央自動車道に入った。白バイが先導している事もあり明日香の乗せられた護送車はトイレ休憩も取らずに一気に都留インターに着いた。そして高速を出て今度はうねうねとした山道を右に左にカーブしながら上っていき人里離れたところにある女子学問所に着いた。明日香は車から降ろされて建物の中にある小部屋に入れられ手錠を外された。
そこで明日香は男性の看守から
「山村明日香、今着ている服を脱げ」
と信じられないことを言われた。中学3年生の女の子が男の人のいる前で服を脱げるわけなどない。
「えっ」
と言って明日香が気後れしていると
「自分で脱がないんなら脱がせてあげよう」
といい男性の看守に後ろから両方の手首をつかまれて抵抗できなくされもう一人の看守に逮捕されたときからずっと着たままの白いパーカーと中に着ている黄色いTシャツを無理やりに脱がされた。白いブラジャーに包まれた胸を隠そうとしても手首をつかまれているからそれもできない。明日香はバンザイさせられたままデニムミニスカートも脱がされブラジャーとショーツだけの下着姿にされてしまった。看守たちは明日香の体をニヤニヤしながら眺め
「中学3年生にしては胸が小さいな」
「もんで大きくしてあげようか」
「高校生になったらもう少し大人の体になりますよ」
「恥ずかしそうにしているところがかわいいね」
「まだまだつぼみというところですかなぁ」
などと明日香の品評会を始めた。中学生になってから父親にだって下着姿を見せたことがないのに…。明日香は目をつぶって下着姿を見られている様子を見えないようにした。今の明日香にはそれしかなすすべがなかった。明日香は次は下着もはぎ取られ丸裸にされて看守たちにレイプされると思い青ざめた。
しばらくして品評会が一段落し意外にも看守は明日香の手を自由にした。明日香は手が自由になると恥ずかしくて急いで胸を手で隠しその場にしゃがみ込んでしまった。看守は汚い作業着を明日香の方に放り投げた。明日香はあわててそれを拾いなるべく看守たちに胸が見えない方を向いて着て下着姿をこれ以上見られないようにした。以後明日香は学問所を卒業するまでそれを着て過ごした。
明日香はJ−6号房という雑居房に入れられた。そこには町田晴美、田中由美子、高橋順子、加藤ちひろ、川田和歌子という5人の明日香と同じ中学3年生が生活していた。町田晴美は神奈川県のF女学院の生徒で学校の作法室でこっそり花を活けていたのを他の生徒に密告されて逮捕された。町田家はバブル時代に金融取引で失敗しとてもじゃないけれど晴美の保釈金は払えなかった。お嬢様育ちの晴美は学問所でのすさんだ生活にすっかりやさぐれてしまいプライドは高く他人に暴力的な少女になってしまった。田中由美子は中野区立M中学校の生徒で元体操部なので体育館で器械体操をこっそり練習していたら体育館の窓越しに見ていた近所の人に通報されて逮捕された。川田和歌子は北区立S中学校の生徒で元イラスト漫画部の和歌子は個人的に漫画を描いているのを同級生に密告されて逮捕された。家には部活で使っていた道具一式がありそれも没収された。高橋順子は江東区立K中学校の生徒で元卓球部で放課後体育館で壁打ちをしていたのを近所の人に密告された。加藤ちひろは私立T女子中学校の生徒で学校の弓道場で放課後無断で矢を放っているのを近所の人に見られて密告され逮捕された。
明日香は看守に
「ほれっ、新入りだ。仲良くしてやれ」
と雑居房に押し込まれた明日香に5人の冷たい視線が突き刺さった。
「やっ、山村明日香です。どうぞよろしくお願いします」
とぎこちなくあいさつする明日香に晴美が
「あんた頭いい方?」
と質問してくる。学問所では試験の成績がすべてで各雑居房ごとに常に成績を競わされている。成績の悪い雑居房の生徒は虫ケラ以下の扱いを受け、学問所では成績に応じて食事の量が差をつけられており全量、2/3、1/3,食事ぬきの4ランクに分けられる。それゆえルームメイトにバカな女の子が来るということは食事を減らされるという切実な問題につながるのだ。
「平均以上だと思います」
「ここじゃ試験の成績がすべてだから。せいぜいあたしたちの足を引っ張らないでね」
明日香は絶句した。明日香は学問所というのは予備校の勉強合宿のようなものだと思っていた。これではドイツのアウシュビッツ収容所の方がまだ待遇がいいかもしれない。
学問所で明日香たちは毎日難関私立高校入試問題レベルの問題を解かされていた。この他に学問所内の清掃や食事の支度、農作業などの労役もさせられた。明日香は割合と成績が上位の子なので余り勉強で苦労はしていなかったが、世の中金がある人のほうに傾くようにできていてお金持ちの娘は親が保釈金を積んで新日本学習塾連合会の加盟校で特別講習を受ける事を条件に学問所から出ることを許された。こういう娘たちはホテルのような特別房で一夜を過ごしてから試験も受けずに出てゆくのだ。しかし普通のサラリーマンである明日香の両親が何億もの保釈金を払えるわけもなかった。
バチン
「明日香、あんたのせいよ」
明日香は口の中を切り唇から血を一筋たらした。晴美が明日香にビンタしたのだ。慣れない学問所暮らしに明日香は体調を崩して試験で悪い成績をとってしまい明日香のいるJ−6号房は食事の量を1/3にされてしまったのだ。学問所では全員の成績が発表されるので誰が雑居房の足を引っ張ったかが丸わかりなのだ。明日香のせいで食事の量を1/3にされたと明日香は同じ雑居房の由美子にはがいじめにされ晴美に頬を何度もビンタをされ腹に膝蹴りをされるというリンチを受けた。抵抗できない明日香を晴美は容赦なくたたきのめす。
「ごめんなさい」
と明日香は消え入るような声で言った。晴美は
「あんたのせいで食事が1/3になっちゃったじゃないの。どうしてくれんの」
とまたビンタをした。
「晴美やめなさいよ。血が出てるじゃない」
と和歌子が止める
「うるさいわねぇ。この女のせいであたしたちまで食事が1/3にされたのよ」
晴美は明日香の腹に膝蹴りをした。明日香は
「ぐえっ」
とうめいた拍子に血へどを吐いてしまいそれが晴美の作業ズボンの裾に着いてしまった。
「この女わざとやったわね」
と晴美はますますヒステリックに明日香を痛め付ける。抵抗できない明日香はされるがままになっていた。騒ぎを聞きつけた看守が
「こらっ、お前ら何を騒いでいる」
と言いながら足音が近付いてくる。
「やべっ」
と言いながら晴美は明日香から離れる。5人は机に向かい勉強している振りをする。由美子は明日香の体から手を離したので明日香はどさっとその場に崩れ落ちた。看守はJ−6号房をドアの窓からのぞきこみぼろくずのように床に横たわる明日香を見て
「コラっ、山村。お前もちゃんと勉強しろ!」
とだけ言って去っていった。生徒同士いがみあっていたほうが組織だった抵抗をしないので看守もリンチに関しては見て見ぬふりをしている。
食い物の恨みは恐ろしいと言うけれど単に食事の量に差を付けるだけなのに学問所では効果的な生徒管理となっていた。それを不満に感じ看守に抵抗しようにもおなかが空いていて何もできず、みな十分な量の食事にありつくためにがんばって勉強をした。しかし個人成績で決まるわけではないから同じ雑居房に頭が悪い子がいればその子が雑居房全体の足を引っ張り食事の量がドンドン減らされてゆき最悪食事抜きにされてしまうのだ。その怒りがリンチという形で足を引っ張った子に向けられて成績のいい雑居房悪い雑居房という階層を自然と学問所の中に作り上げていた。
生徒誰もが満足な量の食事を得たいと思っていた。女子中学生がダイエットのために食事を自発的に減らしているのとは違い食べたくても与えられないのだ。成績のいい雑居房の生徒にはわずかながらにも満足な量の食事を得るチャンスがあるが、成績の悪い雑居房に居合わせればもう絶望的だと言える。だから不正な手段を講じてでも自分だけ助かろうとする者も出てくる。頭でなく顔や体に自信のある女子生徒は看守に体を売り自分だけ待遇をよくしてもらおうと作業服のボタンをはだけて中にしているブラジャーをちらつかせて自分をアピールし看守の女にしてもらうことで十分な量の食事を得ていた。そのかわりにそういう女子生徒は雑居房を出され看守の私室に囲われ慰み物にされた。看守はそれらの女子生徒を手放したくないので試験を受けさせなかったから待遇がよくなった反面学問所を出ることはほとんど不可能だった。しかしそうでもしなければとてもではないが学問所ではやりきれなかった。
明日香のいたJ−6号房は一度試験で失敗し3日間食事ぬきになった。明日香たちはおなかが空いて勉強する気にもならず床に横たわりなるべく体力を使わないようにじっとしていた。ときおり水を腹一杯に飲んで気をまぎらわそうとするがおしっこに行きたくなるだけで一時しのぎでしかない。同室の和歌子は
「死にたい」
と言うが自殺するだけの体力も残っていなかった。絶食4日目にようやく看守が暖かい食事が運んできた。明日香たちは身を乗り出しよだれをたらさんばかりにその食事を見つめた。看守は明日香たちに犬のように
「おあづけ」
の号令を掛ける。明日香たちは犬のような扱いにムッとした。しかしここで看守の機嫌を損ねて食事ぬきになってはという思いもあり黙っていた。看守は
「おすわり」
と号令を掛ける。この時明日香たちはそれを食べるためになら何でもします、とさえ思った。しかしプライドが最後の一線を越えさせなかった。食欲がプライドを圧倒しJ−6号房の中で一番プライドが高い晴美が犬のようにおすわりをした。それを見た由美子や和歌子たちもおすわりをする。もちろん明日香もほかの5人にならって床におすわりした。看守は
「よくしつけられた犬たちだな。芸を見せてもらおうか」
と言う。3日間食べ物を与えられず空腹で死にそうになっているところへ食事をちらつかせ
「犬になれ」
と命ぜられればどんなにプライドの高い子も犬になるだろう。明日香はパブロフの犬のようによだれが込み上げてきてたまらなかった。J−6号房の生徒は6匹の犬になり下がりこの屈辱的な命令に従い尻尾を振って看守に媚びた。
「お手」
と言われて一人づつ看守の手に手を乗せていった。
「チンチン」
と号令を掛けられ6人は両手を犬のように前に突き出しその場でグルグルと回った。普通の状態だったら6人ともそんな恥ずかしい事は絶対にしない。しかしすでに6人の頭には空服を満たすことしかなく、そのためにならどんな恥ずかしい事でもやるくらいせっぱつまっていた。明日香たちは餌がもらえるなら裸踊りだってしたに違いない。看守は犬になった6人の女子中学生を見て腹を抱えてげらげら笑った。腹を空かせた6人にはそれを屈辱に感じる余裕もなかった。そしてひとしきり6匹の犬をもてあそんだ看守は
「よし」
と言って食事を与えた。明日香たちは女の子であることも忘れてがつがつと食事をむさぼった。その様子は餌にありついた犬と変わらなかった。