小説の部屋

神様がくれたクラ


2004/7/12脱稿

 50年前、日本は貧しかった。群馬県の山奥の中学校には十分に予算が回らず吹奏楽部に満足な楽器は無かった。中学1年生の女子生徒が吹奏楽部に入ってクラリネットを吹きたかったけれど家が貧しくとてもじゃないけれど自前の楽器など買えなかった。その女子生徒は覚満淵のほとりにすわって「はぁ」とため息をつくとざざざざーっと水面が盛り上がり神様が現れた。女子生徒は腰を抜かし目をむいて

とおののいた。そんな女子生徒の様子にはかまわず神様は
「お前は大変に普段から心がけがよい娘なのでわしが楽器を授けよう」
と言うと白い光の中に消えた。

 女子生徒は今のは夢だったんだろうか?と思っていると淵の底からぷかりと水面にクラリネットが浮かび上がりすーっと女子生徒の足元に流れついた。しかし神様は知らなかった。
木管楽器は水に弱い!

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