小説の部屋


2005/11/20 脱稿    

古墳少女 佑奈1.5 -礼香奪回作戦-

   

その1

この小説を読む前に前作 古墳少女佑奈をまず読むと世界観がよくわかります。
そのあとは古墳少女佑奈3を読もう。

第1章 礼香がさらわれた

 9月のある日曜日、海老名市立大塚中学校1年生の泉崎礼香は
「駅前の本屋さんに参考書を買いに行ってきます」
と両親に言うと
「車に気をつけてね」
と母親の清香が声を掛けるのに
「はーい」
と上品に返事をして小さなトートバッグ1つを持って神奈川県海老名市大塚町にある家を出た。今日の礼香の服装は水色のロンTにベージュのカプリパンツで中学1年生らしいかわいい服装だ。礼香はまじめな女子中学生で参考書を買うと称して漫画の本を買うような中学生ではなかったので本当に参考書を買いに出たのだ。礼香は歩道を歩いて海老名駅に向かう。ふだんは往来激しい道であったが日曜日の午前中なのであまり人通りはなかった。
 礼香の後ろからシルバーのロールスロイスのリムジンが走ってきた。いかつい体付きをした運転手と後部座席に上品そうな老婦人が乗っていた。老婦人はうつろなまなざしで窓の外をぼんやりと見ていた。その老婦人の名は浅井文江といい神奈川県鎌倉市にある大手商事会社の社長の母親であった。文江は歩道を歩く泉崎礼香の姿を目にするとハッと息を飲み
「秋山、車を止めてちょうだい。早く!」
と生気の宿った目で叫ぶ。運転している文江のボディーガードの秋山は
「はっ、はい奥様。ただいま」
と言ってあわてて車を止めた。文江は秋山がドアを開けにくるのももどかしく自分でドアを開け車外に転げるように出ると歩道を駆けて行く。泉崎礼香の目にも車から出て走ってくる文江の姿は目に入っていたが、まさか自分に用があるとは思ってもいなかったのでいきなり文江が礼香の両腕にすがりついてきたときは思わず「ひっ」と声を上げてしまった。
「雪江! あなた雪江よね!」
いきなり訳の分からないことを言う老婦人に礼香は困惑して声も出なかった。
「あたしよ、お母さんよ。わからないの?!」
「あのう、どなたかと人違いされてらっしゃいませんか?」
「人違いなんかしてないわ。自分の生んだ子供を間違える母親がどこの世界にいましょう。あぁ、雪江会いたかったわ」
と文江は涙を流した。礼香は完全に自分の世界に浸っているこの老婦人をどうしてよいものか思案していた。しかし勘違いは正したほうがよいと考え
「あたしはあなたの娘ではありません。失礼します」
と礼香が文江の手を振りほどいて立ち去ろうとする。リムジンを二人のそばまでバックさせてきた秋山が車を降り気配を殺して礼香の後ろに回り込んできたのに文江に気を取られていた礼香は気付かなかった。秋山は立ち去ろうとする礼香の口にクロロホルムを浸したハンカチを押し当てる。礼香は一瞬抵抗する素振りを見せるがすぐに意識を失いぐったりとして動かなくなった。文江は
「秋山、あなた雪江に何をしたの?!」
「奥様、こんなところで口論するよりもお屋敷にお嬢様をお連れすれば何もかも思い出されるのではないでしょうか。手荒なまねをして申し訳ありませんでしたが、お嬢様には薬で眠っていただきました」
「秋山わかったわ。屋敷に急いでちょうだい」
「かしこまりました」
秋山は後部のドアを開けてそっとリムジンのシートに意識を失った礼香を乗せその隣に文江がすわり秋山がドアを閉める。後部座席の文江はいとおしげに意識を失い人形のようにぐったりとした礼香の髪をなでさすり
「あぁ雪江、お母さんのところに帰ってきてくれたのね…」
と言った。

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古墳少女佑奈をまず読むと世界観がよくわかります。

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