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小説の部屋


2005/11/20 脱稿    

古墳少女 佑奈1.5 -礼香奪回作戦-

   

その7

この小説を読む前に前作 古墳少女佑奈をまず読むと世界観がよくわかります。
そのあとは古墳少女佑奈3を読もう。

第7章 キリン型のUFO

 その後海老名−鎌倉間を何度も首に手紙をしばった白鳥が女子高生がケイタイでメールをやり取りする感覚で往復し礼香と佑奈たちの文通が続いた。それゆえ海老名市と鎌倉市にUFOがよく出るという噂が立ち多くのUFOウォッチャーが押し寄せた。あるUFO研究家の集会で
「おい」
「何だよ」
「聞いたか?」
「何を」
「海老名のUFO」
「あぁ、キリンの形をしているというやつな」
「久しぶりの新型UFOじゃないか」
「でもかなり小さいUFOだっていうじゃないか」
「あぁ、きっとバルタン星人Jr.みたいに小さな宇宙人が乗っているんだよ」
「おおかた誰かがラジコンで飛ばしていたずらしているんじゃないのか」
「翼のないものは大気圏内では飛べんよ。だからUFOに決まっている」
「そんな理由だけで宇宙人の乗り物と断定するのはどうかな」
「よく目撃されるているのは海老名市の大塚町だ」
「そこがどうかしたか」
「そこには大塚亀山古墳という前方後円墳がある」
「だから?」
「その古墳がUFOの基地だ!」
「まさか?!」
「古墳というものはなぜ作られたか知っているか?」
「天皇や土地の豪族の墓だろ」
「墓だけならわざわざ盗掘(墓荒らしに副葬品を盗まれること)されるのを覚悟であんな目立つものを多くの労働力を投入して作るこたぁない」
「だったらなんなんだよぉ?」
「宇宙と交信するための基地だ」
「宇宙と交信するための基地?」
「そう、ナスカの地上絵を想像すればわかるだろ」
「でも石棺から人骨が出ているぜ」
「埋葬されているのは天皇や土地の豪族ではない」
「だったら誰なんだよ。人骨が出ているのは事実だろ」
「あれは人柱だ」
「人柱ぁ?」
「昔はよく人柱を立てたもんだぜ」
「うーむ」

「秋田県の亀ヶ岡遺跡から出土した縄文時代の遮光器型土偶だって宇宙人の姿を映した物だって言われているぜ」
「でもあれは子孫繁栄のためのまじないじゃ…」
「秋田県では遮光器を使う風習はない」
「ではいったいあれは…」
「遮光器型土偶は宇宙服を模したものだとNASAだって意見を出している」
「あのNASAか?」
「おう」
「アメリカの?」
「そうだ」
「スペースシャトルを飛ばしている?」
「ほかにNASAってあるのか?」
「いや」

「熊本県山鹿市にチプサン古墳という全長44mの前方後円墳がある」
「それが?」
「石室は盗掘を受けていたが石棺の内壁に宇宙人がUFOでやってきたときの様子とされる絵が描かれている」
「信じられないな」
「チプサンという古墳の名前もアイヌ語で『船下ろし』を意味する『チプサンヌ』に由来するという説があるぜ」
「アイヌって北海道だろ?! なんで九州の熊本の古墳に関係あるんだよ」
「アイヌ民族は縄文人の末裔と言われ、本州の中央部に大和民族が侵入してきたのに追われ分断され北はアイヌ、南は熊襲や隼人になったと言われている。だから言語的につながっていても不思議はない」
「……」
「そして『船下ろし』の船は宇宙船さ」
「うむ」

「天孫降臨の伝説は知っているだろ」
「日本書記や古事記に書いてあるあれか」
「そうだ」
「天照大神の孫のニニギノミコトが高天原(たかまがはら)から豊葦原(とよあしはら)へ降臨した」
「うん」
「つまり天皇家の祖先は宇宙から来て地球に降り立ったというわけだ」
「そんなバカな」
「大阪府交野市に磐樟船(いわのくすふね)といわれる大きな岩がある」
「それがどうした?」
「天孫一族のニギハヤヒノミコトが降臨するときに乗ってきたといわれている」
「そんなの伝説だろ」
「いや、これは大気圏突入用のカプセルだ」
「えーっ、まさか」
「他にも岩船や舟石と呼ばれる同様の伝説は全国各地にあり、いずれも神の降臨と関連している」
「そう言われれば岩船や舟石という巨石は多いな」
「だろ」
「つまりあのキリン型UFOには神がおわすのか」
「たぶんな」
いろいろと解釈が乱れ飛びUFO関係のホームページやブログでは話題騒然であった。

*****

 海老名市大塚町のキリン型UFOは当初UFO研究家の間だけで噂されていたのだが海老名市役所や海老名観光協会に
「海老名にUFOが出るって本当ですか?」
「UFOが見られる古墳へはどうやって行くんですか?」
といったUFO関係の問い合わせが日に日に増えてゆき、UFO見物に海老名まで来る人が増え海老名駅では
「どこに行けばUFOが見られるんですか?」
という質問が増えキリン型UFOは地元の人達にも知られるようになり大塚商店街の和菓子舗岡田では新製品 宇宙人まんじゅうとUFOせんべいが売りだされた。まんじゅうには宇宙人のイラストが焼き印されあんこも宇宙人の血をイメージしてうぐいすあんになっている。せんべいはアダムスキー型UFOの形をしている。同商店街の田中酒店ではオリジナルラベルの清酒 宇宙人の里と円盤ワインが売り出された。洋菓子ロリアンではUFOクッキーやアダムスキー型UFOの形をしたケーキ 未知との遭遇が売られ、海老名市もそれらに便乗して「UFOの飛ぶ町 えびな」のキャッチフレーズで海老名市を全国的に売り出すことにした。これらの品はJR・小田急・相模鉄道の海老名駅でもブースを特設して販売され、東名高速道路の海老名サービスエリアでは売れ筋No.1に躍り出た。
 それまで海老名市教育委員会も大塚亀山古墳なんて見向きもしなかったのに急きょ学術調査をすることを決め市議会に予算を付けるよう請願を出した。インターネットのUFO関連サイトを通じてUFOの基地がある?!と噂され全国に有名になった大塚亀山古墳の頂にパラボラアンテナを立てて宇宙人との交信を試みる人や虫取り網でUFO捕獲を試みる人が現れて警察が出動するなど大塚亀山古墳は一躍観光名所?になり海老名駅の名所案内にも「大塚亀山古墳」の文字が書き加えられた。

 そういった海老名ローカルのUFOブームだったのが全国放送のワイド番組「朝ワイド日本」の『日本のはやりもの』のコーナーで取り上げられ東名高速道路の海老名サービスエリアから生中継されたので途端に全国規模でのUFOブームがわき起こった。以下はその番組の様子である。

*****

スタジオ「次は『日本のはやりもの』のコーナーです。今朝は神奈川に森田由美さんが行っています。森田さん」

画面は東名高速の海老名サービスエリアの遠景を写し出す。平日の朝にもかかわらず駐車場は満杯の様子だ。カメラ切り替わり同サービスエリアのショッピングモールの前にマイクを持って立つ女子アナ森田由美の姿が写る。その背後には居合わせた人達が中継を見ている様子が見える。

森田由美「はいーっ、今朝は神奈川県海老名市にある東名高速の海老名サービスエリアに来ています。今海老名市はキリン型のUFOが飛ぶという話題で一躍有名になり全国からUFO研究家がぞくぞくとやってきているそうです。海老名市も『UFOの飛ぶまち えびな』というキャッチフレーズで市のイメージアップにUFOを利用していくそうです」
スタジオ「森田さん、葉巻型やアダムスキー型のUFOは有名ですがキリン型のUFOというのは聞いた事がありませんが」
森田由美「UFO研究家の方にお話をうかがったところ、新しい異星人が初めて地球に乗り付けたのではないか? とのことでした」
スタジオ「海老名の町の様子はどうですか?」
森田由美「その答えはこのショッピングモールの中にあります。それでは入ってみますね」

森田由美が自動ドアを開けショッピングモールの中のおみやげ品売り場へと入ってゆくカメラと照明、音声もそれについてゆく。自動ドアを入ってすぐのところに「UFOグッズコーナー」が特設されていてたくさんのUFOグッズが山積みされている。店内のBGMはもちろんピンクレディのUFOだ。

森田由美「御覧のようにたくさんのUFOグッズが売られています。今では海老名のまちをあげてUFOフィーバーしており御覧のように宇宙人まんじゅうとUFOせんべい、清酒 宇宙人の里と円盤ワイン、UFOクッキー、ケーキ 未知との遭遇などUFO関連のたくさんのおみやげ品が売られ、海老名サービスエリアは東京湾アクアラインの海ほたるパーキングエリアをしのぐ観光スポットに一躍急浮上しています」
スタジオ「すごい品ぞろえですねぇ。もう一度よく見せてくれますか?」

カメラは山積みされているUFOグッズをなめるように写し出す。

森田由美「どうです? すごいでしょう! 清酒 宇宙人の里と円盤ワインというのもあり宇宙人はお酒を飲むようです。くれぐれも車とUFOの酔っ払い運転はやめましょう」
スタジオ「森田さん」
森田由美「はいはい」
スタジオ「なんで海老名市でUFOの目撃が相次いでいるのでしょう?」
森田由美「市内にUFOの基地があるのではないかという噂です。それではこれまでのいきさつをVTRにまとめました。御覧下さい。」

画面は生中継からVTRに切り替わる。

(VTRここから)
氷のキリン  佑奈の飛ばしているキリンが大塚亀山古墳を背景にフワフワと飛んでいる姿が画面に写し出される。アマチュアのUFO研究家が捕らえた貴重な映像という触れ込みで「これがキリン型UFOだ」というテロップが出ている。あわててカメラを回しているので手ブレが激しく、日没寸前の時間帯だったのでUFOの細部もはっきりせず非常に見辛い映像であるが
「なんだあれは?」
「おい、あっちに飛んでいくぞ」
「撮れ撮れカメラは回し続けろ」
「意外と小さいぞあれは」
という撮影したアマチュアのUFO研究家たちの興奮した叫び声が入っていて妙に臨場感のある映像となっている。画面切り替わり森田由美のこの写真を撮影したアマチュアのUFO研究家たちへのインタビューがつづき

森田由美「UFOを発見されたときはどう思いましたか?」
研究家「あれが噂に聞くキリン型UFOかと感動しました」
森田由美「世界で初めて映像に収められたということですが」
研究家「新たなるUFO研究の幕開けを告げる映像だと思います」
森田由美「大きさはどのくらいだったんでしょうか? VTRには『意外と小さいぞ』という声が入っていましたが」
研究家「だいたい全長がおよそ30cmくらいだったと思います」
森田由美「そんなに小さいと宇宙人は乗っていないんですかねぇ?」
研究家「いや、ものすごく小さな宇宙人の乗り物だと考えるのが合理的です」
森田由美「なるほど。どこの星から来たのだと思いますか?」
研究家「わかりません。わからないからこそUFOなんです。UFOというのは未確認飛行物体という意味なんですから」
森田由美「ありがとうございました」
(VTRここまで)

 ふたたび海老名サービスエリアの森田由美にカメラが戻る。

森田由美「このように貴重な映像をお借りすることができました」
スタジオ「本当にキリンの形をしているんですねえ」
森田由美「はい、そうなんです。VTRにもあったように全長30cmくらいの小さなものなんですが、どこの誰が何のために飛ばしているのかは全くの謎だそうです」
スタジオ「警察はこれに対して動いているのですか?」
森田由美「人に危害を加える訳でもないので静観しているそうです」
スタジオ「そうなんですか」

カメラが駐車場が満杯の海老名サービスエリアの遠景を写し出す。

森田由美「ただ、ごらんのように平日の朝にもかかわらずUFOグッズを買い求める人達で駐車場はほぼ満杯で、連休ともなりますと海老名サービスエリアの数キロ手前から本線上に駐車場が空くのを待つ車やバスが列をなし渋滞の原因として社会問題化しています」
スタジオ「たしかにその様子では連休などにはものすごい騒ぎになりそうですね」
森田由美「はい、海老名サービスエリアには『なんでいつ行っても混んでいて駐車場に入れないんだ!』という苦情の電話も殺到しているそうです」
スタジオ「それは深刻な問題ですね」
森田由美「高速道路会社によれば高速道路の本線上に車を止めてサービスエリアに入るのを待つのは渋滞の原因であるのみならず、事故を誘発しかねないのでやめてほしい。休憩や買い物は近隣のサービスエリア・パーキングエリアへ迂回するようにとのことでした」
スタジオ「行っても入れないのでは何のためのサービスエリアかわからないですからねぇ」
森田由美「海老名サービスエリア混雑で給油を断念して足柄サービスエリアへ向かった乗用車が本線上で燃料切れを起こし立往生したところへ大型トラックが突っ込み4人が死傷する事故も起きています」
スタジオ「それは深刻な問題ですね」
森田由美「高速道路のサービスエリアだから入場規制もできないので高速道路会社も困っているそうです」
スタジオ「なんとかならないものでしょうか?」
森田由美「はい、交通ルールを守って事故のないようにUFOグッズを買いにきてとのことでした」
スタジオ「今朝は森田さんに神奈川から伝えてもらいました」

と放送が終わった。

*****

その翌月にかけて平成に入ってから久しく放送されていなかったUFO特番が各局趣向を変えて連夜のごとく放送されUFOファンを喜ばせた。書店の店頭には各種UFO本が平積みされ、それが飛ぶように売れていて佑奈のキリンが全国にUFOブームを巻き起こしていた。

この章の参考資料
   大山 元 知ってびっくり!古代日本史と縄文語の謎に迫る きこ書房
   五島 勉 宇宙人 謎の遺産 祥伝社ノン・ポシェット
   古代文明研究会編 超古代文明と神々の謎

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古墳少女佑奈をまず読むと世界観がよくわかります。

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