
海老名市立大塚中学校1年生の泉崎礼香は吹奏楽部でトランペットを吹いていた。大塚中学校吹奏楽部の吹奏楽コンクール地区大会は散々な結果で礼香の夏は早々と終わった。その後礼香は毎年夏を過ごしている茨城県那珂郡平磯町にある祖父母の家に来ていた。この平磯町は古い民家が多く残っている昔懐かしいたたずまいの町で単線非電化の茨城鉄道の線路をはさんで国道が通り海水浴場がある海側となだらかな丘に平磯神山古墳(前方後円墳 全長100m)と平磯横穴墓群(【注】横穴墓:斜面や崖に横穴を掘って作った古墳時代後期の簡易式墳墓。有名な吉見百穴のように群集して作られることが多い)のある山側にわけられる。海の近くに水神様、古墳の頂に古墳に葬られた古代の首長を祭る朱雀神社がある。礼香の祖父母の家は平磯神山古墳の麓にあったので海水浴場までは歩いて10分くらいかかった。礼香の祖父母の家の隣に渡辺浩一という二つ年上の男の子が住んでいて祖父母の家で過ごす礼香は幼い頃から「浩一兄ちゃん」と慕い遊んでもらっていた。
去年の夏以来一年ぶりに会った浩一に礼香は何か意識してしまうのを感じていた。浩一の前で自分をうまく表現できないというか、まっすぐ浩一を見ることができなくてどことなくぎこちない接し方になってしまう。礼香は自分でもおかしいと思いながらも去年までのように「浩一兄ちゃん」と無邪気に浩一にまとわりつくことができず何か身構えてしまう。本人は気付いていないのだが、礼香も中学1年生になり浩一を異性としていつしか意識するようになっていた。礼香の「浩一兄ちゃん」を慕う感情がいつしか恋愛感情にすり変わっていた。礼香にとって初恋といってもいいほのかな思い。海老名市立大塚中学校で新聞部とタイアップして「恋の魔法大会」を大成功させ多くのカップルを誕生させた礼香であったが実際の恋愛は初心者だったのでそれをどうしてよいのかわからず表面に出ないよう注意しながら一人でおろおろしていた。浩一に「礼香ちゃん」と声を掛けられるたびにいつも冷静な礼香とは思えないほどどぎまぎして顔を真っ赤にしてうつむいてしまう。浩一もそんな礼香の態度を変に思いながらもまさか礼香が自分に恋してるとは思ってもいないから礼香のあからさまな態度の変化の意味するところをくみ取ることはなかった。
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古墳少女佑奈をまず読むと世界観がよくわかります。この作品のあとは古墳少女佑奈2、古墳少女佑奈3を読もう。
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