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麻衣と絵里は自転車にまたがるとそれぞれの家に向かって全速力でこいだ。ゆっくり走っていると後ろからくる何かに追いつかれそうな気がした。だからあとの2人のことなど構っている余裕は麻衣も絵里もなかった。それゆえ麻衣も絵里も莉奈がついてきていないことなど気付いていなかった。それぞれ家に帰り怖くて布団を被ってガタガタ震えていた。少しして落ち着いた麻衣は絵里と莉奈にメールを打った。
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TO:絵里
TO:石田さん
FROM:麻衣
SUBJECT:いやぁ怖かったね
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さっきは怖かったねぇ。
ちゃんと家に着いた?
MAI
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すぐに絵里から返信がきた。
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TO:麻衣
TO:石田さん
FROM:絵里
SUBJECT:麻衣のバカァ
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さっきは死ぬかと思ったんだからね。
もう探検には行かないよ。
ERI
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それからしばらく麻衣は絵里とメールをやり取りしていて気が付いた。莉奈からは1通も来ないことを。麻衣は莉奈にメールを打った。
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TO:石田さん
FROM:麻衣
SUBJECT:返事こないけど
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石田さんからメール来ないけれど
さっきのことで怒っているのかな?
ごめんね
MAI
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それでも莉奈は返信を寄越さなかった。麻衣はきっと莉奈は怒って寝てしまったのかと思って莉奈とのコンタクトをやめた。
「チロチロリ〜ン」
不意に静まり返った暗い部屋の中に不似合いな電子音が軽快に鳴り響く。莉奈は
「ひっ」
と言って背をのけぞらす。足首が挟まっていなかったら莉奈は飛び上がって驚いたことであろう。音の正体は携帯電話のメール着信音だ。この曲は麻衣からのメールだ。莉奈の左前方2.3mの位置に青と緑のイルミネーションが見える。カバンの網ポッケに入れた携帯電話はあんな所にあったのか。
「清水さ〜んっ、あたしはここよぉ。助けてぇ〜」
と莉奈は半狂乱になってわめくが麻衣に聞こえるわけもなく莉奈は必死で手を伸ばすが部屋が暗くて距離感がつかめないとはいえ2.3mも離れたところにある携帯電話に手が届くはずもないし莉奈の手の届く範囲にカバンをたぐりよせるのに使えるような棒もない。数秒間着信音が鳴ったあとイルミネーションも消え再び幽霊ホテルの部屋を闇と静寂が支配する。
「清水さん…」
莉奈は麻衣に見捨てられたような気がした。それから何回か麻衣と絵里のメール着信音が鳴ったがいつしかそれも鳴らなくなった。
ちょうどそのころ幽霊ホテルの前を残業帰りのOL清水里恵が携帯電話のメールを見ながら歩いていた。夜に幽霊ホテルの前など歩きたくもないのだがここを通るのが一番の近道なのだ。あっちこっちに反響してくぐもった莉奈の声が生暖かい風に乗り幽霊ホテルから
「清水サァ〜ン、アタシハココヨ。助ケテ」
という不気味な声になって聞こえてきた。里恵の手から携帯電話が滑り落ちる。
「いやぁーっ」
里恵の全身を恐怖が駆け抜けた。そして
「ギャー」
里恵は携帯電話を落としたことにも気付かずに悲鳴を上げて走って逃げた。
これがのちに幽霊ホテルの「死霊のささやき」の伝説となり、こうして心霊スポットとしての幽霊ホテルにいっそうのハクがついたのであった。
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古墳少女佑奈をまず読むと世界観がよくわかります。
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