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門限の午後7時を過ぎても娘の莉奈が帰ってこない。玄関先で父はイライラしながら莉奈の帰りを待っていた。
午後8時を過ぎた。こんなことは初めてだ。親からかかってくると莉奈がいやがるので電話をするのは控えていたけれど父は莉奈の携帯にかけた。しかし着信はしているのだが莉奈は出ない。時間を置いて何度もかけているのだが莉奈は出ず
「いったい莉奈は何をしているのだ」
イライラはつのるばかり。
ふたたび携帯電話が鳴る。今度は家からの着信音だ。パパが私のことを心配して掛けてきてくれたんだと莉奈は思った。
「パパぁーっ、パパぁーっ」
莉奈は泣き喚きながら手を伸ばすが届かない。パパからの電話も切れた。莉奈は力尽きたようにうなだれた。その後何度かパパからの電話があったが莉奈は出ることができなかった。
午後10時を過ぎた。まさか莉奈はどこかの男と無断外泊するつもりではないだろうか?! そう思うといてもたってもいられない。幼い莉奈に言葉巧みに言い寄る悪い男が莉奈をホテルに連れ込もうとしているのではないか、そんな悪い予感がした。
まず父は長谷川茜の家に電話をした。
「もしもし茜ちゃん、石田莉奈の父ですが」
「あらおじさま、こんばんは。こんな時間にどうなさいましたの?」
「じつは莉奈がまだ帰っていないんだけど茜ちゃんのところにいるんじゃないかと思って」
「えっ?! 莉奈ちゃん夜遊びですの? わたくし今日は吹奏楽部の練習がありましたので莉奈ちゃんとは終礼の時教室で別れましたの」
「そうかぁ、茜ちゃんと一緒じゃないのかぁ」
「莉奈ちゃん携帯電話を持っていましたよね? おじさまかけてみましたの?」
「もちろんだよ。しかし何度かけても莉奈は出ないんだ」
「それは変ですの」
「茜ちゃん、莉奈が今日どこにいったか知らないかい?」
「そういえば同じクラスの清水さんとどこかにゆく約束をしていましたわ」
「莉奈はどこへゆくって言ってた?」
「うーん、忘れてしまいましたの」
莉奈の父はがっくりきた。茜は自分が参加するイベントではないから莉奈が麻衣たちと幽霊ホテルに探検にゆくと話していたことをすっかり失念していた。なんとも親友がいのないことである。しかし莉奈の父にとってはそんなのでも愛娘の行方を捜すための重大な手掛かりである。莉奈の父は莉奈の部屋からクラスの名簿を引っ張りだし清水麻衣の家に電話をした。
「麻衣ーっ、電話よぉーっ」
1階で母が呼ぶ。こんな時間にイエデンにかけてくるなんて一体誰?!と思いながら1階にゆき電話に出ると莉奈の父だった。
「清水さんこんばんは。こんな遅くにわるいね」
「いえ」
「じつはまだうちの莉奈が帰ってきていないんだけれど清水さんどこにいるか知らない?」
「えーっ?!」
麻衣は絶句した。幽霊ホテルで散り散りになったまま莉奈が帰っていないなんて。確かに3人一緒に逃げ出したはずだ。
「いえ、夕方に別れた後は知りませんが…」
麻衣の母もそばで聴いているので麻衣は3人で幽霊ホテルに探検に行ったなどとは言えなかった。しかも麻衣が言い出しっぺだ。
「そうなのかぁ、なにか知っていると思ったのになぁ」
莉奈の父が落胆する様子が電話越しにもよく伝わってきた。
「いままで莉奈がこんな遅くまで帰らないことなんてなかったのに…。まさかと思うけれどどこかの男と一緒に莉奈が無断外泊なんてことになっていなければいいんだけれど」
麻衣はそんな話聞いたことがないが、まぜっかえせる雰囲気ではない。
「莉奈から電話がくるかもしれないので…」
莉奈の父は心配そうに電話を切った。
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古墳少女佑奈をまず読むと世界観がよくわかります。
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