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麻衣は大あわてで2階の部屋に戻ると携帯で莉奈に電話を掛けた。20回以上コールしたけれど莉奈は出ない。一体莉奈はどうしたのか。
「おかしいなぁ、石田さんも幽霊ホテルから無事脱出したはずなのになぁ」
莉奈の携帯の着信音が鳴る。麻衣から電話の着信だ。
「清水さーんっ」
莉奈は叫びながら必死でイルミネーションの光に手を伸ばす。その様子はおぼれるものが藁をつかもうとしているようだ。しかしどんなに莉奈が叫んでも腕は伸びず麻衣からの電話は切れた。取れない電話ほど使えないものはない。
「清水さんの人でなしぃ、鬼、悪魔」
普段の莉奈なら絶対に口にしないような汚い言葉で麻衣を罵倒する。莉奈に追い討ちをかけるように懐中電灯の電池が切れ部屋が真っ暗になった。
「いやぁーっ」
莉奈は叫ぶけれど部屋は明るくならない。古い電池を入れたままの懐中電灯を持ってきた莉奈が悪いのだけれども、莉奈にしてみればポルターガイスト現象にしか思えなかった。部屋が暗くなった途端回りにいる不定形な何かがうごめき始めたようで
「いやっ、こないでっ」
と莉奈は暗闇の中必死で手でそれを振り払っているが払っても払ってもまとわりついてくる。暗くて見えないが莉奈の顔は涙でぐずぐずになっている。
麻衣は携帯で絵里に電話した。
「麻衣、石田さんのお父さんから電話がきたけれど石田さんまだ帰ってないんだって」
「あたしのところにもきたよ」
「石田さんどうしちゃったんだろうねぇ。まさか悪霊に取り付かれたんじゃ…」
「そっ、そんなことあるわけないじゃない」
否定する麻衣の声も震えている。
「あのね、絵里。幽霊ホテルから逃げ出すとき絵里は石田さんと一緒にいたよね?」
「えっ?、麻衣が石田さんと一緒に逃げたんじゃないの?」
「あたしは一人で逃げたわよ」
「あたしも逃げたとき一人だった」
「じゃあ石田さんは?」
二人とも嫌な予感がしてきたけれどそれを口にするのが怖かった。
その頃麻衣と同じことを考えた女子大生4人組が幽霊ホテル探検のため懐中電灯を点して幽霊ホテルに入っていた。4人は焼き肉屋で酒を飲んだ勢いでやってきていたので大きな声でお喋りしながら探検していてそれが不気味に反響していた。あちこちの部屋をのぞいて見たあと4人は4階に上がってきていた。
「幽霊ホテルっていうけどただのボロいビルじゃん」
「誰が出るなんて言い始めたんだろね」
「そいつよっぽど臆病なんだよ」
「言える言えるぅ」
と言いながら402のドアを開け中を照らした。懐中電灯の光の中に髪を振り乱し目を腫らした少女が床にすわり4人に向かって手を伸ばし
「助ケテェ…」
とうつろな声で言うとそれまで陽気にお喋りをしていた女子大生4人組は背筋に水をぶっ掛けられたようにぞぉーっとしたものが走り抜け一人が
「ギャーっ」
と悲鳴を上げると
「出たぁーっ」
「お化けぇーっ」
「いやぁーっ」
と叫びミュールが脱げるのにも構わず散乱したガラスで足を血だらけにしながら幽霊ホテルを逃げ出した。これがのちに幽霊ホテルの「階段に残る血の足跡」と「髪を振り乱し足をつかもうとする少女」の伝説となった。
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古墳少女佑奈をまず読むと世界観がよくわかります。
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