小説の部屋


2006/9/21 脱稿    

古墳少女 佑奈4 -佑奈お姉様-

   

その6

この小説を読む前に前作 古墳少女佑奈をまず読むと世界観がよくわかります。
そのあとは古墳少女佑奈3を読もう。古墳少女佑奈3の直後のエピソードなのでより深く楽しめます。

第6章 礼香の尋問

 その日も長谷川茜は用もないのに2年2組の教室の前にきて佑奈の様子をうかがっていた。たまたまそこへトイレから帰ってきた泉崎礼香がやってきた。2年2組の教室の前を通り過ぎ一安心して階段を上って1年3組の教室に逃げ帰ろうとしていた茜の腕に手を掛け
「ねぇ、あなた」
と声を掛ける者がいた。茜が振り返るとそこには上月佑奈の親友 泉崎礼香がいた。
「いっ、泉崎先輩!」
茜は飛び上がらんばかりに驚いた。長谷川茜は言葉遣いや振る舞いが優雅なのでどちらかと言えば上月佑奈というよりか泉崎礼香の妹タイプである。その二人が階段で話をしているのはじつに絵になる取り合わせだ。
「いつも2年2組の前にきて佑奈のこと見てるよね。佑奈に何か用があるの?」
礼香は優しく茜に問い掛ける。茜にすれば佑奈お姉様を心配する泉崎先輩が怪しい1年生をつかまえて尋問しているようにしか感じられなかった。
「いっ、いえっ、そのっ、あのっ」
茜は何て答えてよいかわからずへどもどした。
「佑奈に用があるのならあたしから伝えてあげるけど?」
そう言われてもパニくっている茜にはどうやってこの苦境を乗り切ればよいかわからず
「しっ、失礼しましたぁーっ」
と叫ぶと階段をかけ上がって逃げた。

 「はぁ はぁ はぁ…」
茜は1年3組の教室に駆け込んで自分の席についた。全力で走ってきたので息が荒い。どうやら礼香は茜を追いかけてこなかったようだ。それでも廊下のほうで物音がすると茜はギクッとして顔を上げる。そこにいたのは親友の石田莉奈だった。
「茜ちんどうしたの? お化けでも見たような顔して」
茜はそれに何も答えることができず「わっ」と泣き出した。
「あたしなんかまずいこと言った?」
事情のわからない莉奈はおろおろしている。茜はかぶりを振るだけで何も答えなかった。

*** 茜の日記 *************

 今日2年生の廊下へ佑奈お姉様を見にいったら
階段のところで泉崎先輩につかまって
「佑奈お姉様に何か用!」
と怖い顔でにらまれたの。
泉崎先輩はわたくしが毎日教室に
佑奈お姉様のことを見にいっていることを
知ってらしたわ。
佑奈お姉様の耳にも毎日様子を窺いにくる
変な1年生がいると入っていることでしょう。
あぁ、もう終りだわ。
学校に行きたくない

**********************

その7へ

古墳少女佑奈をまず読むと世界観がよくわかります。

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