小説の部屋


2005/9/12 脱稿    

古墳少女 佑奈1.11

   

その1

第1章 佑奈の午睡

 海老名市立大塚中学校1年生の上月佑奈は戦っていた。何と戦っているかといえば睡魔である。ある晴れた日。おなか一杯に給食を食べた後の5時間目。社会の時間に鎌倉幕府の成立についてのたいくつな授業を聞かされていて佑奈は上のまぶたと下のまぶたがくっついて首がカクッとなっては起きるという繰り返しであった。

 佑奈はいつしか夢の世界をさまよっていた。タコの形をしたモンスターが佑奈に迫ってくる。8本の足をくねくねと動かして佑奈に迫ってくるのが気色悪い。佑奈は必死で逃げていたがタコのくせにこいつはなかなか素早く動けたのでじりじりとその差が詰まってきていた。
 木を見て森を見ず夢中になって逃げ回っていた佑奈はいつしか袋小路に追い込まれていた。三方は上端が雲の中に消えている高いたかい塀で乗り越えることなんて不可能だ。残る一方からモンスターが迫ってくる。あまり使いたくはなかったけれど腕輪の術を使うしかない! 佑奈は静かに指を組み結印すると古代日本語で呪文を唱えて雷電の術を発動させた。

  「ぎゃぁ〜〜〜〜っ!」

 佑奈は女の子の悲鳴でハッと目覚めた。あたりを見回すと佑奈の前の席にすわる桜井悠未が床の上でピクピクと痙攣していてそれをクラスメイトたちが怖々と見守っている。
「ちょっと佑奈、寝ぼけて術を使うのやめてよ。悠未ちゃん気絶しちゃったでしょ」
と親友の高田瑞穂が言う。どうやら寝ぼけて雷電の術を使ってしまったらしいと分かり佑奈は唖然とした。
「悠未ちゃん大丈夫? ごめんね、あたしそんなつもりじゃなかったの」
と佑奈は謝るけれど悠未は白目を剥いて気絶していた。社会担当の山村先生が
「おい、保健委員。桜井を保健室に運べ。上月、後で職員室に来い」
「あーあ、佑奈怒られた」
高田瑞穂が親友の危機にも関わらず嬉しそうに言った。

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