小説の部屋


2005/12/24 脱稿

古墳少女 佑奈 番外

初めてのクリスマス

 神奈川県海老名市大塚町の大塚商店街は12月に入り各店舗の店先にクリスマスツリーやサンタクロースの置物が飾られスピーカーからはジングルベルが流れクリスマスムード満点であった。「クリスマス大抽選会」の横断幕も貼られ当たりが出たのか時折抽選所の方からカランカランと鐘を鳴らす音が聞こえる。師走の大塚商店街は多くの買い物客たちでにぎわっていた。
 海老名市立大塚中学校1年生の上月佑奈は彼氏の古谷と大塚商店街を歩いていた。二人はこの年の夏からつき合い始めたので二人で過ごす始めてのクリスマスだ。古谷はベージュのフードのついたコートにジーパン、佑奈はピンクのダッフルコートの中に灰色のタートルネックセーター、デニムミニスカート、ルーズソックスの服装で佑奈の黄色いミトンと古谷の茶色い手袋はしっかりとつながっていた。さっきから二人ともずっと黙って歩いている。話さなくてもお互いの気持ちが通じ合っているからなのと二人とも商店街のおじさん・おばさんたちは幼い頃からよく知っている人たちばかりなのでさきほど肉屋のおじさんから
「よっ、佑奈ちゃん。彼氏とデートかい」
と声をかけられてものすごく恥ずかしかったせいだ。

 不意に古谷が足を止める。それにつられて佑奈も立ち止まる。佑奈が古谷を見ると
「佑奈、目を閉じて」
と古谷が言う。

えっ、これってキス?! 
そんな大胆な。
古谷君、ちょっと待って。
こんなたくさんの人達がいる商店街でキスだなんて…。
心の準備ってものがあるじゃないの。
でもクリスマスツリーもゆれムード満点な初キッスもいいかしら。
でも知っている人達に見られちゃう。
大塚中学生に見られたら学校でなんて言われるかしら。
でも古谷君がしたいというのならしたい放題させたげるのもいいか。
あたしたちつき合っているんだし。
でもあとでみんなの噂になるわね。
迷っている暇はないわ、古谷君の気が変わらないうちに目を閉じなきゃ。

 千々に心が乱れた佑奈は真っ赤になって目を閉じる。古谷の手が佑奈の顔に触れる。

あぁ、これが初めてのキスなのね。

佑奈はどぎまぎしながら古谷のすることを待った。しかしそれ以上のことは何も起こらない。 えっ?! 不審に思って佑奈が目を開けるとどこまでも女心に鈍感な古谷がニッコリ笑って
「佑奈のまつげにごみがついてたよ」

【あとがき】
クリスマスシーズン到来ということでとくにプロットも立てず思い付くままに書き下ろしました。佑奈と古谷の恋はスローペースですねぇ。佑奈がいろいろなトラブルに巻き込まれてあたふたしているから古谷としても佑奈との恋を深めるチャンスが無いのでしょうか? おい、古谷! 少し鈍感すぎるぞ。

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