清掃登山回想録

'02清掃登山回想録 2002,10,5〜6
林道をゆく  align=


◆はじめに 〜ゴミにはどうやら2種類あるらしい・・〜
  昨年10月、群遊会主催、5回目になる「清掃登山」に参加してきた。私自身、源流遊びのヒヨっこで、経験もクソもないハナタレ小僧だが、何カ所かの渓流に遊びに行くたび、人工建造物の全くない森林のなかで自然というものに生身の体をさらけ出し、何とも言えない開放感と、周りに仲間がいてもそれとは関係ない)孤独感、そして美しい流れと渓谷の美しさに触れ、その場でなければ言い表せないような喜びを実感できた。
 また同時に、アプローチ、テント場、そして渓流そのもので、ゴミの多さに愕然とし、怒りをおぼえ、それを通り越し感心し(あきれ?)てしまうということも、ほぼ100%の割合で体験してきた。
 渓流や渓谷でのゴミの問題は今始まったことではないが、ある意味で私たちは「あきらめ」や「麻痺」に近い感覚に陥ってはいないだろうか・・。ワタシ自信、いまでも無意識に小さなゴミを捨ててしまうことが無いだろうか…。絶対にないとは言い切れない。
 そんなとき、別冊つり人「渓流」や、群遊会の10周年記念「魚止め」での清掃山行の掲載記事を見た。山に関わる様々なジャンルの遊びのなかで、実は釣り人が一番評判が悪いことや、山の状況や環境保護的観点の基本的なことなど、いまさながら「やっぱりそうだよなぁ」と再認識することが多い内容であった。そしてなによりも、実践的に「ゴミを拾う」というシンプルな行動である、「清掃山行」に自分も参加してみたくなった。
 佐渡以来、いろいろ親しくさせていただいている根がかりクラブの曽野部さんが毎年参加されていると言うことで、相談したところ、ああでは一緒に行きましょう、な〜に気楽に行けば良いんですよ、たぶんマイタケもどっちゃり採れますよグフフ、と、純粋な動機を少し不純にさせられてしまったが、なにはともあれ肩肘張らず楽しみながら行けるのであればなおよろしい、と参加を決め、集合日を迎えた。
 当日は、城野徹さん、曽野部さんと同乗して月山・八久和ダム方面にむかった。道すがら2人のお話が色々聞けただけでも楽しく有意義であった。今回は事前の情報として、「そんなにゴミは多くないかも知れない」ということだったので、2人はどちらかというとミズラナの周りのゴミ、「マイタケ」を採るほうに意欲満々で、過去の収穫の話を聞くにつけ、「どっちゃりよ〜ん」の言葉が私のなかでもだんだん現実化していった。いかんいかん、動機は純粋なのだが。

19人の大部隊。  align=


本流の流れ


◆出発〜旧車止め
 八久和ダムサイト6:30発予定を少し遅れて8:00出発。19人の大部隊だ。最初の目的地は、「旧車止め」といわれる、サイトから伐採廃道を辿って3時間ほどの場所。八久和ダム湖南岸、湯井俣川バックウォーターを右に見て進み、一時間ほどで現れる湯井俣橋を渡る。すると今度は川を左手に見ながら進むが、ここから少しづつ高度を上げ、気が付くと本流が遙か下方に小さく見える。
 途中ときどき沢とクロスするが、踏み跡・・というよりも、朽ち果てた伐採林道がしっかり続き、悪い場所もアップダウンも全くない。かえってこういう道がけっこう疲れるものだ。20人近くの大所帯、なかにはフリーで参加した地元の学校の先生である女性2人もいる。なんだかんだで目的地まで4時間近くかかった。
 旧車止めはたしかに伐採作業の終点であったようで、荒れてはいるものの20人が余裕で泊まれるくらいの広さであった。当初の予定では到着早々ここを清掃し、川に降りて第一テント場を清掃した後昼食の予定だったが、既に12時近くなっていることもあって、まずはここにてみんなで昼食。一息ついたらいよいよ清掃開始。事前情報通り、思ったほどゴミは出なかったが、やはりぽろぽろと出てくる。なかでも、テン場ゴミの定番「空ボンベ」が多く、次に瓶・缶、そしてペットル関係が続く。中にはモーターオイル用の四角い缶も出てきて、かなり錆びている事から、数十年前の伐採作業関係のものではないかと思われた。
 最初の目的地が終了すると、今度はいよいよ本流に降りる。装備の関係で、旧車止めのベースに残って幕営地の整備と薪集めをする班、そして本流を遡行して第一・第二テン場清掃を目指す班に別れ、14:00帰営を目途に行動を開始する。ベースから川まで、高低差は80mくらいあるらしく、ここを降りるのはけっこう怠いものがあったが、降りてみると別に危険な個所はなく、真横に向かって生えた灌木を伝って安全に降りられる。川に降りると、清冽な流れが迎えてくれた。6月までの雪代期には、膝から腰までの激流が轟々と流れ、遡行を容易に許さないと聞く。ふと、ここも八久和と同じ山系なのだなぁ、ということに気づき、今年は参加できなかった八久和の流れを想像した。来年は万障繰り合わせて八久和に来よう、と思った。


旧車止めのゴミ  align=


第一テン場のゴミ



よくもまあ持ってきたモンだ。  align=


第二テン場は比較的キレイだった


◆ゴミ隠すくらいなら、持って帰れよ・・まったく・・。
 第一テン場は、降下点から200mほど遡った右岸、沢の出会いの手前にある。水線遡行隊として来ているおよそ半数の10人くらいで、さっそくゴミ探しを始める。目に付くゴミはほとんどなく、拍子抜けの反面「おお、最近はゴミが減っているという噂は本当だったのね」と少し感心したそのとき、現実にひき戻された。テン場の山側斜面を探っていたメンバーが、うわーと言ってなにやらほじくり出している。みんなで見に行くと、出るは出るは、大型のシュラフのケースや、なぜかボストンバッグのようなものにくるまれた大きな廃棄物。なんか開けるのにも勇気が要るぞ。中身は、ブルーシート、衣類、サンダル、シュラフ、中身が入ったままのサバみそ煮缶詰、その他いろいろ生活道具一式だ。第一発見者の証言によれば、「そこの倒木のウロの中に埋めてあった」とのこと。前回の八久和岩屋沢と同じような、「埋めて帰る」という姑息で悪質な手口だ。それにしても、こんな事する手間よりも、持って帰った方が全然いいべや、と呆れてしまう。こいつらはこれをすることによって、自分の犯罪の唯一の目撃者としてずーっと一生モヤモヤするんですぜ。「へっ、まったく恥ってもんをしらないのかねぇ」思わず口走ってしまった。そのほか、ご多分に漏れずボンベや空き缶等を大石でつぶし、ゴミ袋にまとめたが、気分はブルーにならざるを得ない。

◆うひひ、マイタケだ〜。
   メンバーの一人が、斜面途中のブナに「イワナ釣りのバカヤロー」という鉈目がはいっていたのを見たそうだ。「これじゃあ釣り師が嫌われるのもしょうがないね。」一部同好者の心ない行為に怒りと哀れみを感じつつ、第二のテン場に移動しようとしたとき、こんどはうって変わって全員が気色を満面にする事件がおこった。前哨隊として第二テン場に行っていたメンバーのひとりが、マイタケの株をもってひょっこり現れたのである。「あれあれ、どうしたの??」と全員で笑いながら問いつめると、「いやいや、あったんですよ・・」とこれまた自分でも信じられないような返事であった。彼が言うには、第二テン場にはほとんどゴミがなかった、ということだが、第一テン場の実例もあるので、一応念のため、さらに100mほど上流の同じく右岸側にある第二テン場に全員で向かう。このとき、実は誰もがゴミよりもマイタケに感心があったことは言うまでもないが。
 彼の言うとおり、第二テン場にはほとんどゴミがなかった。掘り返してみても、ここにはなにか埋葬されているような場所もなく、綺麗なものであった。若干の空き缶ゴミを綺麗にさらい、帰営の準備にかかる。
 さてでは帰りましょうか、とリーダーの武田さんが合図をだすが、一部に円陣が組まれ、なかなか動こうとしない一団がある。根がかりクラブ前会長、今回最高齢参加の高木さんが、地形図を出してみんなと相談している。「最近は釣りよりもマイタケ採りに命を懸けている」ともっぱら評判の、根がかりの斉藤信之さん、それに八久和で採ってきたマイタケが家の冷蔵庫に未だに大量残置されていて最近はトイレがマイタケ臭い、といっている曽野部さん、渓のシェフ城野さんなどが、「ここだ、あそこだ、」と地形図で場所割りをしている。清掃は一応終了した。時間もまだ一時過ぎくらいだ。武田さんも、気合いの入り方が違うこの一団については無理矢理帰営を勧めるわけにも行かず、まあ時間もそんなに押してはいないので「たっぷり採ってきてください。幕場で待ってます」と送り出す。言葉が早いか、みんな獣のように斜面に消えて行ってしまった。

「ありました。」


ナラタケもいっぱい  align=


ヤマブシタケです。


さっとゆでて、柚胡椒でいただきます。
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ゴミはイヤだが、これには皆大満足。


◆宴会〜解散
  私は先にベースに帰る組になった。はっきりいって、やはりまだまだあそこまでの体力は無いようだ。みんな山猿のように木を揺らし尾根を登り、ふと気づくと既に稜線にでている。いやはやアレくらいやらないとマイタケは採れないんだなぁ、と感心した。  ベースに帰り、天幕を設営し、いろいろ手伝うが、手慣れた人が多いのでほとんど準備は出来ちゃっていて、恐縮する。マイタケ班が帰ってくる頃には、すっかり整って、あとは獲物を拝見するばかり。結果的にはどっちゃり採れたのだが、なぜかみんな帰ってきたときにはしょんぼりしている。それぞれの収穫量を牽制したり、またおふざけで皆をガッカリさせ、実は採れたよーん、なんてことをしようとしていたのだろう。曽野部さんは残念、発見したものの踏まれていたらしい。採れすぎてさらにまた発見したときは、踏みつぶして菌を残し来年覚えて置いて採るんだという。うーむ、飽くなき欲望の追求だ。とのかく他のメンバーはどっちゃりと採ってきて、今夜のメインディッシュがいやが上にも期待される。

群雄会・武田さん。今回はリーダーとして引っ張っていただきました。


 やっぱりこれはないと・・・・  align=


あこがれの、マイタケがご飯より多く見える
「ご飯マイタケ」


 今回の宴会はメンバーがすごい。群遊会武田さんをはじめ、高木さん、城野さん、曽野部さんなどなど、座っているのに股の間から料理が出てくる。参ったのは、ミズのムカゴをさっと塩ゆでするだけのつまみ。これは本当にイケた。それから、なんとテン場のすぐよこ、古木のウロに出ていたヤマブシタケだ。これは城野さんが発見したのだが、ゆでこぼして薄切りにし、醤油と柚胡椒でいただく。絶品なり。
 城野さんが車中で話してくれた本日の料理を作り始めた。その昔、中国の奥地、シルクロード行き交う旅人たちにとって、塩の摂取は嗜好以上の必要な行為であった。どのようにしておいしく塩を摂ってもらうか、ということで作り出された料理が、「ピェンロウ」という料理らしい。材料は、干し椎茸の薄切り、白菜、そして鶏肉、この3種類だけである。この3種類の素材を全く味付けせずにクツクツ煮込むだけでできあがり。食べるときに、器に好みの塩(今回はイタリアの岩塩)をいれてたべる。味の方は、たしかに最低限の素材の味が良く出ていて、しかも塩そのものの味を殺さないような風味がある。  様々な料理が次々と出てきて、宴会は自ずと盛り上がるわけで、マイタケを使った料理もどんどん出された。混ぜご飯や炒め物、中にはシシトウとマイタケのチャーハンという旨いんだかどうだか分からないもの、その他「何でも良いからマイタケ入れとけ」状態。「おーいちょっとマイタケ一掴みとってくれぇ」「はいよ」てな感じで、細かいかすがボロボロ落ちる。なんとこんなことが許されて良いのだろうか。こんな贅沢は、ここでしか絶対に味わえないハズだ。結局あまりにマイタケ創作料理が多すぎて、とうとうその夜はマイタケご飯が出ずに終わってしまった。


 翌朝、予定では9:30に出発の予定だったが、皆早起きのわりにはマッタリしている。各自で朝食を作っているひともいたが、私は今回は「ご飯マイタケ」を食べずには帰れないと思っていたので、達人の誰かが絶対に作るはずだ、とウジウジしていると、城野さんが8:00くらいになってようやくマイタケご飯を作り始めた。ついでに、来るとき採れたナラタケのみそ汁も作っている。できあがったご飯マイタケは、マイタケ・ニンジン・油揚げ、そして醤油を少し使っただけのシンプルなものだったが、ナラタケみそ汁とともに、私の一生忘れられない味になった。
 その後、各自予定がある人から流れ解散となり、最終組がベースを後にしたのは11:00を回っていたであろうか・・。ダムサイトに着いたのは午後3時くらいだった。
 とりあえず風呂に入りたいので、西川町にある「銘水館」で汗を流し、となりの地ビールレストランで少し早いが夕食とした。曽野部さんと斉藤さんは、「ここは今月3回目だなぁ」といって、メニューに悩んでいた。
 今回の清掃山行では、清掃そのものだけでなく、山を楽しむ人々との交流が出来たことが何よりも楽しく有意義であったように思う。今後、様々な活動の機会があると思われるので、釣りだけでなく、自分に出来ることをしていきたいと思っている。

メンバ−
 群遊会、根がかりクラブ、葉山の自然を守る会、東北源流会、渓道楽などの各メンバー。他個人参加者を入れ、総勢19人。

日程概要
10/5(土)
7:30 集合完了
8:00 出発
11:30 旧車止めテン場着(昼食休憩)
12:30 第一テン場着、同清掃
13:30 更に本流上部のテン場清掃
14:00 清掃終了
15:30 反省会(大宴会)

10/6(日)
9:00 先発組出発
11:30 最終組出発
14:30  最終組ダムサイト着
16:00 「銘水館」にて食事、解散



本年6月、再び湯井俣川へ(2003/6/14)
  今年6月、再び湯井俣に訪れたとき、昨年とは違った表情で迎えてくれた。森は雨に濡れた新緑が草いきれとともに五感をふるわせ、川は雪代でドウドウと増水し渡渉を容易に許さない。それでも何とかテン場には到着し、沢や本流できれいなサカナにあうことが出来た。いつものように流れの音を聞きながら燃えさかるたき火を見つめ、いつまでも清々しい山と渓であって欲しいモノだと呑むにつけ酔いがすすみ、いつの間にか漆黒の闇夜に吸い込まれるようにグウグウと眠りについちゃったのであった。

湯井俣橋から、川を眺める。  align=


そうめんに舌鼓


本流は増水気味だ。  align=


前回は禁漁期だったので、
今回初めて出会った湯井俣のイワナ。





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