![]() もうすぐ頂上。 出合川をめざす いつかは一度いってみたいと思っていた八久和川上流・出合川への釣行が実現した。大井沢から天狗角力 取山頂を登り詰め、今度はオツボ峰へ続く登山道をひたすら歩き下り、出合川に降り立つ。正月2日に家のコタツで 「東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)」を呑み見して、「イマイいけ〜。ヒック♪」なんてエヘラヘラと普段 やっているが、いざ自分が山登りとなるとからっきしへなちょこで、東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)の イマイくんや富士登山駅伝競走大会の陸上自衛隊滝ケ原の皆さんや寒鰤歩荷がいかにすごい人たちなのかがよくわかって楽しい。 われながらバカなことに手を出したものだと悔やみつつ、ただそれだけを悔やみ続けるのにはこれまたハルカに時間が余って退屈だ。 おまけにつらい。「もっと考えることや時間つぶしの方法を用意してくればよかった」とさらに後悔の種を拡大再生産 しながら、朝からずっとやまない雨の中歩くこと約5時間。ようやく稜線に近づいた。
朝日尾根道カミナリ囃子 植生が変化し低木が支配的な尾根道は、同行者の原さんいわく最近石畳になってドロドロ田んぼ道歩き から開放されたんだとか。ピンソールをはいた足元はカチカチと歩きにくいので、はずして歩こうかと思ったら今度は ゴロゴロと音がする。これは同行者で大食いのナベちゃん(渓道楽会長)のおなかがなっていたりキコリやマタギの仕業 だったりという可能性は当然なく、立派なカミナリさんです。同行者で宇都宮の荻野さんは「尾根の稲妻は怖ぇよ〜。横にはしるんだから〜♪」 と怖くなさそうに教えてくれた。大変参考になったと感心しながら、五時間登ってきてそろそろ関節がねばりきっている 下半身に苦痛は無視しろと言い聞かせ、カチカチカチカチと石畳を駆け上がる。いつの間にか一人になっていたが、 いっしょにいるよりは流れ弾(か?)にあたらんだろうなどと相変わらず自分優先思考をしながら必死で駆け上がる。 「ゴロゴロどーん」いよいよ音が近づいてきた。命中クロコゲはさすがにシャレにならないので、すべての装備を藪に 放り込んで、低木の隙間に身を隠した。砂漠で野砲のシャワー(アイアン・レインと人は言う)を浴びるとこういう心理 になるかもしれない。しばらくして音が収まったので、「それ今のうち」とばかりに天狗小屋へ向かう。
晴天ならば天狗角力取山頂の「天狗様の土俵」を越えて一気にくだるはずだったが、さすがに半日雨に 打たれて川へ向かう気力が萎えていた私たちは、すんなりと天狗小屋泊まりを合議成立させていた。初めてみる天狗小屋 の実物は思った以上にきれいで快適。小屋だけでなく周辺の手入れなどから、管理人さんの普段のご苦労が感じられる。 ちなみに帰りがけにはお土産をもらったりして、すっかりお世話になってしまった。 ユカ・カベ・テンジョウとはかくもありがたいものか、と心身ともに疲れ果てた私たちは管理人さんや山の神さまやその他いろいろなものに感謝しつつ 小屋での宴会で気を晴らす。明日の予定は天気次第、晴れれば朝から出合川に降って釣り三昧、雨なら戻って大井沢の温泉だ〜、 といずれにしても呑んで盛り上がる。快適な小屋泊宴会は、同泊の年配山やさんチームともうちとけて夜更けまで続く。
強欲な汝らよ川へ行け 一夜明けると、カラっととはいかないが雨は上がり時々うっすら日が見え隠れしている。こうなると釣り屋のムシがうずくわけで、 黒田さんの言う「山岳カーストにおける最低ランク民」であるという自覚がジワ〜ッと湧いてくる。同泊の年配山やさんチームは、オツボ峰 をぬけて大鳥池方面に向かうということで早々に出発したようだ。私たちは朝食をとって、山やさんたちに遅れるとこ1時間 ほどで出発したが、こちらの歩き方が乱暴なのか、強欲が動作に直結しているのか、川のおりくち手前で追いついてしまった。雨は週 の半ばから降っていたらしく、やはり増水気味だ。山やさんチームは渡渉場所を慎重に検証していたが、やがてリーダーらしき人が渡 渉した。私たちは釣りが目的なので、上流になべちゃんと八木さん、下流は荻野さん、原さんと私でそれぞ釣りを楽しむことにした。 普段定宿にしているという幕場のすぐ下がプールになっていて、お魚のいそうな気配がプンプンする。竿を出すとかわいいのが釣れた。 一匹連れるととたんに釣欲が下がる私は幕場で焚き火を起こしのんびりしていると、荻野さんと原さんが戻ってきた。それぞれ釣果が あり、満足できたようでした。
今回は、05年に亡くなった川上健次さんと斉藤信之さんの愛した幕場で、お線香をあげるという重要な目的がありました。 思えば不幸な事故の年、初夏というにはまだ早すぎる6月、前年の豪雪による爪あとが生々しい八久和下流部への釣行が、川上さん との最後の釣行になった。フタマツで流されて「こりゃヤバイな」とおもいつつハキダシのテント場に必死で戻ると、ワリイワリイ と着替えながら待っていた川上さんをみて、「やっぱりこの人は不死身だわい」と思ったものだったが。みなそれぞれの思いで、焚き 火から線香に火をつけ祈りをささげた。それにしても腹立つのはテント場に半ば堂々と捨てられたブルーシートだ。問答無用。焼いた。 天狗小屋の二晩目は、食料の強制消費完了行動が主な作業となった。三連休の最終日。管理人さんにとっても同様らしく、あまった食材 で私たちもご馳走をいただいた。おなかがカエルみたいになりながら、ずっと続けばよいと思う夜は更け、やがて下界へのタイムリミット が夜明けとともにやってくる。3日目は朝から雨。今思えば不思議なことだが、まるで天が往来の試練と穏やかな祈りの一日を用意してく れたような不思議な3日間であった。
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