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園芸上の分類について

ここでは、ペラルゴニウム(=ゼラニウム)の園芸上の分類についてちょっとまとめてみたいと思います。
園芸種については私はよく知らないので、自分自身のための覚書きも兼ねて書いてみました。

まず、よく知られていることですが、ペラルゴニウムは園芸上では以下のグループに大別されます。(このグループ分けは植物学上の分類(=”ペラルゴニウムの分類について”参照)とはまったく関係ないので、混同しないようにしましょう。)


  開花詳細
1.ゾーナル四季咲きP.zonaleP.inquinansを主な親として、他にCiconium節に属する数種が交配されて作られたもの。P. x hortorumという学名が付けられている。ふつう”ゼラニウム”と言ったらまずこれ。膨大な数の品種があり、さらにいくつかのグループに分かれる。下の”ゾナレ系の分類”参照。
2・アイビーリーブド四季咲き P.peltatumから作られたおなじみ”アイビーゼラニウム”。 原種のP.peltatumの花色は白〜ピンクしか無いが、ゾナレ系と交配することにより赤花種が作出された。
P.peltatumの栽培は18世紀初頭から始まったが、育種が始まったのは19世紀始め頃から。 初期の品種は一重の花のみで、最初の八重咲き種は1875年にイギリスのBullナーセリーのカタログに載った"Konig Albert"だった。
アイビーゼラの先祖としてP.lateripesの名前がよく出てくるが、これは現在ではP.peltatumの変種とされている。ゾナレ系同様花色,草丈,花の咲き方などにより様々な系統がある。
3.リーガルペラルゴニウム(ドメスティクム系)一季咲き P.grandiflorum,P.cuculatum,P.cordifolium他数種から作られたグループ。P. x domesticumという学名が付けられている。 このグループも膨大な数の園芸品種がある。店頭で”ペラルゴニウム”というと大体これ。大輪でデコラティブな花が特徴で、"azarea geranium"の別名がある。アメリカでは”マーサワシントン””レディワシントン”とも呼ばれる。 P.cuculatumを始め元々このグループの先祖には赤花は無かったため、初期の品種はラベンダー色などピンク系の花色だったが、P.fulgidumと交配することによって赤花を作出できるようになったという。 また、初期の品種は今のような大輪ではなく、もっと小輪で草丈が大きくなる性質だったらしい。 Regalという名前は1870年にイギリスのBullナーセリーが付けた。
4.エンジェルペラルゴニウム一季咲き P.crispumとリーガルペラルゴニウムから作られたグループ。上弁にはっきりとした大きな斑紋が入るパンジーのような花が特徴。 1820年代の記録に残る品種'Angeline'が最初と言われている。(詳細不明。)
1825年ごろに作出された交配親不明の系統と、1930年代にイギリスのL.Smithにより作出された系統がある。後者は交配親にP.crispumを使っているので、葉が香る品種がある。例)'Catford Belle'(1935)
上弁の面積の殆どが濃い紫の斑紋で占められている独特のパンジー咲きは、1870年に作出された'Madam Layal'(マダム・レイヤル:フランス産)が最初と言われ、後の似た品種は皆このMadam Layalの血を引くそうである。 最近は”ミニペラルゴニウム”の名前で売られているものもある。
5.ユニークペラルゴニウム一季咲き 19世紀中頃にP.fulgidumを元に作出されたグループ。 100年前には沢山の品種が作出されていたらしいが、現存するものはごく僅からしい。また、交配の記録も現存しないためP.fulgidum以外の交配親に何が使われたのかは不明。
記録に残る最も古い品種は'Rollson's Unique'(W.Rollison,1835)。(←”ロリンソン”に非ず) 次に古いものは'Shrubland Pet'(D.Beaton,1845,英)。
時代は下って1960年代、F.Hartsook(米)が'Old Scarlet Unique'(オールドスカーレットユニーク)とリーガル系の品種を交配させて、有名な以下の6品種を作出した。
'Bolero','Polka','Hula','Voodoo','Carefree','Mystery':
ユニーク系はセンテッドゼラニウムとして扱われる場合もある。'Rollson's Unique'は葉にミント系の香りが有るとのことだが、殆どの品種はかなり弱い香りでこれを”センテッド”と呼ぶのはちょっと強引な気も。
6.有香種(センテッドゼラニウム)一季咲き・四季咲き両方ありハーブでおなじみ葉が香る種の総称。殆どは園芸種だが一部原種も含まれる。
7.原種系(Prymary Hybrids)一季咲き・四季咲き両方あり原種どうしを交配して作られた品種。例)ラベンダーラッドなど。
8.原種一季咲き・四季咲き両方あり原種そのもの。





◎ゾナレ系の分類

上の表・1.のゾーナルはさらに特徴によってグループに分けて扱われることがあります。
ただ、このグループ分けはそれぞれが全く別の品種を指すわけではなく、複数の特徴をもつ品種なら複数のグループに属することになります。

例えば、”モミジ葉ゼラニウム”でおなじみバンクーバーセンテニアルはAの表ならステラー,Cなら銅葉に入ります。ベン図にするとこんな感じ。



A.大きさ・姿形
  草丈(=鉢の縁から計測した高さ)説明
高性種(Basic,Regular size)20cm以上原種のP.inquinansは2mくらいまで育つらしく、まだP.inquinansの影響を強く受けていた初期のゾナレは大きく育つ高性種が多かったらしい。(花色も赤が多かったらしい。)初期の改良の目的の1つは小型化だった模様。
ドワーフ12.5cm〜20cm成長しても背が低いだけでなく、小さい鉢で(4号鉢)栽培が可能らしい。場所を取らずに栽培できるのがポイント。
ミニアチュア12.5cm以下同上。こちらは3号鉢で栽培できるらしい。(ホントに〜〜?!)
マイクロミニアチュア10.0cm以下同上。
ディーコン(Deacon)12.5cm以下ゾナレ系とアイビー系の交配種。見た目はアイビー系の特徴は無く、ドワーフに似る。放っておくと草丈は30cm以上になるので、ピンチして小さく育てるらしい。
ステラー(Stellar)とフォルモスム系(Formosum)切れ込みのある葉と花が特徴。最近、国内でもステラー系が”星咲きゼラニウム”や”もみじ葉ゼラニウム”の名前で市販されている。ステラーとフォルモスム系はどちらも起源は不明。この2つはとてもよく似ているものの、一方はオーストラリア,もう一方はメキシコのバハ・カリフォルニアで発見され両者に関連があるのかどうかも不明。この2つの違いは葉の形。ステラーよりもフォルモスムの方が切れ込みが深く入る。



B.花の咲き方
一重咲き1つの花の花弁数は5枚。
半八重咲き1つの花の花弁数が6〜8枚。
八重咲き1つの花の花弁数が8枚以上。ただし、ローズバッドのような咲き方をするものは除く。
ローズバッド1つの花の花弁数が20枚またはそれ以上。バラの蕾のような形の花が咲く。ローズバッドは19世紀中ごろから栽培が始まった系統で、突然変異で生まれたとも言われるが起源は不明。
チューリップ咲き花弁が外側に反らず、チューリップの花のような形になるもの。1966年にAndreaナーセリーが発表した'Patricia Andrea'が始まり。
バーズエッグ(Bird's-Egg)花の中心付近に鳥の卵の模様のような斑紋が入るもの。ヨーロッパで18世紀中ごろから栽培が始まった。起源は不明。
ペイントボックス(Paint-Box,Speckled Flowerd)日本語にすると”散斑”?? 花弁に絵の具を飛ばしたように、不規則に色が入る。
カクタス咲き花弁が外側に(縦に)カールしているので細く見える独特の咲き方をする。”カクタス”はサボテンのことではなく、カクタス咲きのダリアのことらしい。アメリカでは”ポインセチア咲き”とも呼ぶ。
カーネーション咲き花弁の端がカーネーションのように浅い切れ込みが入る。これも起源は不明らしい。(ウィルス起源という説もある。)


C.葉の斑・色
2色葉文字通り2色葉。
3色葉葉の縁が黄色のものと白のものがある。
銅葉葉の斑紋が大きくなり、葉の半分以上の部分が斑紋の色になっているもの。
黄葉黄色がかった明るい黄緑の葉。
黒葉黒〜紫よりの黒葉。
バタフライリーブド(Butterfly Leaved)葉の斑紋が蝶の形のような模様になっているもの。例:ハッピーソート('Happy Thought')
カスケード(Cascades,Frutetorum Hybrids)P.frutetorumを先祖にもつグループ。葉の中心よりに幅広の斑紋が入るのが特徴で、幅広すぎて輪紋になってない品種も有。横に育つクセがあるのでハンギング向き。アイビーゼラの”カスケード”とは別物。

・葉色や斑を観賞する品種は”ファンシーリーフ”(Fancy-leaf)とも呼ばれます。

・残念ながらココでは実物の写真が無いものがたくさんあるので、文字の説明だけではちょっとわかりづらいかと思います。
興味のある方はHolt Geraniumsさんなど海外のゼラニウム専門ナーセリーのサイトを覗いてみてください。きっとイメージが掴めることと思います。



・天竺葵

ペラルゴニウム(ゼラニウム)が初めて日本へ渡来したのは江戸時代末期とのことです。
当時入ってきたのは殆どがゾナレ系で、外国から来た葵に似た葉の植物ということで”天竺葵”と名づけられました。葉色や斑の変異が人気をよび明治末期と昭和初期に大流行したそうです。
天竺葵は輸入した品種に日本語の品種名が付けられただけのものと、日本で改良されたものがあるそうですが、残念ながら現在では絶えてしまった品種もあります。
天竺葵についてもっといろいろ知りたいのですが、現在では流通している品種も資料も少ないのが困りものです。詳しい情報をお持ちの方、いらしたらぜひHP作って下さい〜〜。
輸入品種も良いけれど、せっかく日本で独自に発達した品種があるのですから、このまま埋もれさせてしまうのは勿体ないと思います。


天竺葵について解説されているサイト:
  国立歴史民俗博物館・くらしの植物苑だより
No.32 ゼラニウム
No.33 変わり葉ゼラニウム
  血豆亭
葉変葵

(04/03/12 一部修正)


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