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”ゼラニウム””ペラルゴニウム”という名前について
”ペラルゴニウムの分類について”でも触れましたが、現在”ペラルゴニウム”と呼ばれている植物はその昔は”ゼラニウム”(Geranium)と呼ばれていました。
ペラルゴニウムは主に南アフリカ産ですが、最初に栽培が始まったのは故郷から遠く離れたヨーロッパでした。
彼らが南アフリカからはるばるヨーロッパに渡ったきっかけは東方貿易だったようです。
16世紀にオランダ東インド会社の貿易拠点が南アフリカに作られると、食料や薬用植物が採集されてヨーロッパの植物園(ライデン植物園など)へ送られるようになりました。
そんな中、最も早い時期にヨーロッパに持ち込まれたペラルゴニウムはPelargonium tristeだということになっています。P.tristeが最初に記録に登場するのは1631年のことですが、ライデン植物園に持ち込まれたのは1600年以前のようです。
その当時"Pelargonium"という名前はまだ存在しなかったので、P.tristeはGeranium tristeの名前で呼ばれていました。
この話を最初に聞いたとき、もっと花の派手な種ではなく、なんでまたこんな地味な花が??とも思ったのですが、当時の輸送手段(=長い航海)を考えると休眠する塊茎をもつ種が運ばれたのはもっともなことですね。P.tristeは食用にもなるし薬効もありますので、有用植物として注目されたのかもしれません。
”ペラルゴニウム”という名前が歴史上に初めて登場するのは18世紀前半のことです。
1732年,J.Dillenius(ドイツ)により、アフリカ産のGeraniumたちの中で5枚の花弁が均等でないものを"Pelargonium"と呼ぶべきだという意見が初めて出されました。しかしDillenius自身は提案はしたものの自身で付けた名前をなぜか使用することはなく、1753年にリンネ(スウェーデン)によって学名の二名法が確立されたときにもPelargonium属は採用されずGeraniumのままでした。
その後、フランスの植物学者Charles-Louis L'Heritierが「Geraniologia」(1787-1788)の中で初めて、GeraniumとPelargonium,Erodiumを明確に区別しました。
この時点からやっとPelargoniumの名前が使われるようになり、それまでGeraniumと呼ばれていた植物の本名は”ペラルゴニウム”となったわけなのですが、園芸上は最初の呼び名が残り現在でも使われています。
園芸店などで名前をチェックしてみると、現在”ゼラニウム”の名前が使われているのは............
・ゾナレ系
・アイビーゼラニウム
・”もみじ葉ゼラニウム”でおなじみStellar type
・ハーブとして扱われる芳香種(センテッドゼラニウム)
・”パンジーゼラニウム”の名前で流通しているP. x 'Splendid'
などがあります。
一方”ペラルゴニウム”の名前は、主に大輪で花の派手な一季咲きタイプ(ナツザキテンジクアオイ)に使われているようです。ちょっとややこしいですね。
”ゼラニウム”がペラルゴニウム属に引越ししたのはともかくとして、では元のGeranium属(=フウロソウ属)には何が残ったのか?というと、日本人なら馴染みが深いゲンノショウコの仲間がいます。この仲間なら国内にも沢山自生していますし、最近は”ゲラニウム”の名前で苗やタネがよく売られていますね。
私の家のまわりにもアメリカフウロが自生しています。
フウロソウを”ゼラニウム”と呼んでしまったらそれこそややこしいので、”ゲラニウム”と呼ぶ傾向は良いことだと思います。
私はGeranium属についてはよく知らないのですが、こちらも沢山の植物が含まれるグループのようです。ゲラニウムについては国内外問わず詳しい方が沢山いらっしゃいますし、ネットサーフィンしてみると沢山情報を得ることができます。
ちなみに、Pelargoniumの名前はギリシャ語の"pelargos"(こうのとり)に由来します。Geraniumは"geranos"(鶴),Erodiumは"erodios"(アオサギ)が語源です。実の形が鳥の嘴を連想させたようです。
ついでですが、MonsoniaとSarcocaulonは鳥とは関係ありません。Monsoniaは人名由来(A.Monson,モンソン夫人)、Sarcocaulonはギリシャ語で多肉質な茎という意味だそうです。

一季咲きタイプの"Dollar Bute"です。
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