流花さんのぎぼうし用語解説

 このページは,流花さんが,当サイトの掲示板に書き込んでくださった文章を流花さんの了承を得てとりまとめたものです。とっても参考になります。流花さんこれからもよろしくお願いします。m(__)m

【日本語基本編】  【ラテン語(学名)編】  【英語編】

【日本語基本編】

あくしゅう ●悪習 山野草界の悪習を教えちゃおう。まず小型のもや珍しいものが好まれるという前提ね。最近は学名や分類をきちんとして表示している業者も少なくありませんが…。とにかく詳細不明の小型植物に「姫」を冠して、一件落着にしてしまう。「ヒメギボウシ」がいい例ね。屋久島は小型植物の宝庫で、山野草愛好家の心をくすぐる。屋久島産の植物には屋久島○○○となることが多いのです。ところが、業者の手にかかると小型の植物は、自生地にかかわらず「屋久島」と冠されることの多いこと。「姫」も「屋久島」も小型のという業界用語と解釈しましょう。「ヤクシマヒメミズギボウシ」なんてものが流通したら、お腹がよじれそう(^O^)
あけぼのふ ●曙斑(あけぼのふ) 境界がぼけた白斑。後暗みの経過でこの斑の状態になるが、今日の園芸界では、「黄中斑」のことをこれに置き換えている。アケボノトクダマ(標準和名)があるように、黄中斑のミズギボウシが「アケボノミズギボウシ」で流通しています。
えいようはんしょく ●栄養繁殖(株分け) 縞斑種のH.‘Yellow Splash’の中に、一枚だけ緑葉を持つ個体があったので、分離し単株栽培してみました。ギボウシの葉はご存知の通り、螺旋状に出てきますが、緑葉のところに目印のラベルを立てました。丸く繁った株の右側に目印です。成長点を境に上から真っ二つに見ると、右側に出る葉はすべて緑一色。左側に出る葉は品種本来の模様。中間(上下)では、一枚の葉に縦半分に緑一色と斑模様が出ました。花茎も縦半分に右側が緑色で左側が斑模様でした。冬が来て休眠しまーす。翌春です。芽が出たのは、鉢の右側のみで、本来の株は萌芽なし。『斑抜けちゃん』がモリモリ成長しました(~_~;)。翌年の芽を作るときに、斑入りは、オーディションで落とされちゃったみたい。これも自然の摂理ですね。複数の株でモシャモシャに繁っていれば、『斑抜けちゃん』だけを根こそぎ掻き採ることで、品種維持はできますよね。たった一株にこのような異常が現れたときの裏ワザね(^_^)。生育中の緑葉をカットして、その葉柄に目印を付けておきます。あとは、通常に栽培します。それだけ(^_^)冬に落葉して、目印のあるところに芽を確認したら、それを取り去るだけです。ギボウシも各葉の付け根に脇芽を持っていますが、一つ一つの脇芽を担当しているのがその葉です。この葉が満足に成長すれば、そのお返しとして来年用の芽を育てます。それを人為的に阻害するわけです。逆に突然変異で斑が発生した場合でも応用できます(親葉の形質は遺伝しやすい)。
おうごんば ●黄金葉 じゃ、まず「黄金葉」がどうやってできるか書くね。葉の細胞中の葉緑素が少なくなり、淡葉緑素がのキサントフィルが表面に出てくるから、黄金葉になるのです。この黄金葉の状態は、まったくの葉緑素欠乏ではないから、植物は生きて行けます。純白斑のみの個体は、発生しても「うぶ」(オバケ、ユウレイ、albino)といわれ、光合成が出来ずに絶えていきますものね。黄金葉は、温度、光量、生育期、季節によって変化します。葉緑素とキサントフィルの出現バランスにあるようです。この「黄金葉」の部分と地色(緑)の部分が組み合わさると。「黄斑」の品種になります。黄金葉は、その葉色のため光合成が不器用なので、春から初夏までは充分な直射日光に当てなければいけませんね。この時期に手を抜くと、株全体がバンザイをしておマヌケな姿になりますし、真夏の強光線(一時的な)や高温にも耐えられない根性ナシになりやすいから(^○^)。海外で使われている用語に tanning がありますでしょ?黄金葉の品種を日焼させて、その品種の特性を現させることね。これも、しっかり肥料や日光を与えた健康な株じゃないと無理なこと。許容量以上の光や温度のときには、葉は緑色に傾くのですが、その後は「健康的な日焼け」を楽しむってことね(^_^)。さて、うちのギボウシたちの栽培場所は、南北が抜けた東向の軒下です。遮光の手を抜くと、真夏後に葉の薄い緑葉種や白系斑入り種は、ケロイド状にバリバリに日焼けします。が、黄金葉系は部分的に白っぽくなるだけですよ。最近では植える環境に合わせて、強光性や弱光性の品種も多く作出されているので、カタログや栽培者からの情報がキーワードになることもお忘れなく(^_^)
がくめい ●学名 まずは、属名には、男性、女性、中性があります。Hosta は、男性詞で、それに続く種小名も同じく男性詞になります。
レンゲギボウシを例にすると
Hosta fortunei
属名 種小名
 *属名はの頭文字は必ず大文字で、種小名ともにイタリック体。
 次に記号です。
  var. = variety 変種
  ssp. = subspecies 亜種
   f. = forma 型
  cv. = cultivar 園芸品種
 *これらは、すべてゴシック体。
 他に園芸品種を示すときには ‘’を用いる。
 例
  Hosta sieboldii ‘Kabitan’
 これは、なにかわかるかな?
 ◎種小名が特定できない交雑種には
 例
  Hosta ‘Patriot’これもわかるよね?
 *品種名はゴシック体でね。ついでに、属名 種小名 記号と必ずスペースを入れてね。
げんぺい ●源平(げんぺい) 源氏は白旗、平氏は赤旗から、紅白のこと。通常は花に使われる用語。
こばぎぼうし ●コバギボウシ コバギボウシは、北海道から九州に渡って自生しています。北海道に花茎が1.5mになるもの(タチギボウシ)から南下するに従い、手のひらに納まる小型のものまであります。根茎も一塊のところからストロン(匍匐茎)が伸びて、そこに新しい株が発生するのも特徴ですね。自生地が湿原や草原の水っぽい場所なので、古くからミズギボウシと誤認識されていることが多いですね。本物のミズギボウシは園芸的価値が低いので鑑賞目的には栽培されないしね。
こんふくりん ●紺覆輪 葉の斑部分がメインになり緑の地色が覆輪になった状態で、地色がより濃く青っぽくなるからこういいます。黄斑のものは斑のみでも生きられるから、地色は緑色でしょ。白斑のものは濃い緑色になってるものも少なくない。斑の形容で「紺覆輪」がよく使われているけど、これは定義からいって乱用なわけ。黄斑の覆輪でも基本種の地色より濃ければ正しい使い方なのね。ギボウシに関して言えば…地色っていったってトクダマやタルディアナ系やトウギボウシ系は、元々青味の強い緑色だものね。スジギボウシも地色が濃いのは生き残るために濃いんじゃないかな?この変種のオハツキギボウシは青味のない緑色でしょ。スジギボウシの斑部が後暗みになっても、その地色はキープしてますでしょ。
さいこく ●西国 九州や四国は西の国だから、「サイコク」ね。イワギボウシの変種でして、自生地から標準和名がサイコクイワギボウシ。学名ではHosta longipes var. caduca。それで、標準のイワギボウシは、よじろうさんの自生地の写真にあるように、花径に付く苞が白から紫で、開花時に萎れるの。サイコクイワギボウシのほうは、変種名 caduca=早落性で、花茎が伸び出すと同時に苞が萎れるってわけ。イワギボウシ(広義)の中には、地域変異や個体差があるけど、西の国産ということですね。
  山野趣味の人は、このサイコクイワギボウシのコレクターが多いですよね。
 ギボウシの自然変異品の採集が本格的に始まったのが関東中心で、イワギボウシの変異品もずいぶん発見されました。増殖され価格的にも手に入れやすくなってきています。当時未開拓だったサイコクギボウシの変異品に目を付けたのは、ずいぶん後になってからでしょう。
大分県で、サイコクイワギボウシの葉裏に白粉がある個体が見つかり、ここでポイントアップ!さらに裏白サイコクイワギボウシの斑入り品が見つかった、またもやポイントアップね。サイコクで〜裏白で〜斑入りで〜の株に付いた値段が三十万円也!これが金襴豪華なコテコテな鉢に植えられたら、そりゃあもう『お宝』ですね。日本産の蘭やオモトにもン十万円ン百万円ものがあるでしょ。ギボウシなんて冬に枯れりゃお終いじゃない?前年と全く同じ模様の葉が出る保証はないんだから。一部の山野草界の方って、投機目的のような感じがしないでもないし、偉い?先輩の意見には従っているような・・・この辺で止めとこう(^.^)はっはっは
しまふ ●縞斑(しまふ) 斑色が葉に縦に入る斑で、斑の本数や状態に変化があり、縞、縦縞、条斑などと呼ばれる。単子葉植物の葉を観察してみて、主脈に対して支脈が葉先に向かって伸びているでしょ。アヤメ類やタケ類の葉の斑は縞になってるからね。ギボウシも刷毛込み斑じゃなくて縞斑になるわけ。
スポーツ ●sport 芽吹き時に起こる突然変異、芽状変異。有茎植物でいう「枝変り」のほうは馴染み深いでしょ。元株から異なる個体があらわれることですが、株分けだけではなくメリクロンから発生した場合も使われる用語です。
H. ‘Francee’(芽状変異)→H. ‘Patriot’(メリクロン)→H. ‘Loyalist’(芽状変異)→H. ‘Revolution’という道程があります。H. ‘Fire and Ice’もH. ‘Patriot’のスポーツでH. ‘Loyalist’とうりふたつですが、その詳しいプロセスは不明です。
H. ‘Sieboldiana Elegans’ひとつとっても数々のスポーツがあり、黄中斑品種でも次々に新品種が現れています。斑色の濃淡や冴え暗み、株型の大小、好光量、好湿度など微妙な差があり、簡単には侮れないようですね。それぞれの品種を目的に合わせて栽培するのも楽しいでしょう。
たまのかんざし ●タマノカンザシ 「玉簪花」「紫萼」は共に中国でのギボウシ属全体の呼び名です。日本の古書に出てくる「玉簪花」はキョクサンクワの漢名で、タマノカンザシと特定できません。発音表記が不適切ですが、中国では、玉=yu,簪=zan,花=huaとなります。さて、標準和名のタマノカンザシですね。17世紀に中国大陸よりマルバタマノカンザシが渡来。日本でこの白花有香の種は「タマノカンザシ」と呼ばれる。自家・他家共に不稔性が強く、まれに出来た種子も発芽力を欠く。繁殖は株分けで、日本国内に広まる。
 そうそう、『実際園芸 1935』によると満州国及び中華民国にはマルバタマノカンザシには23の品種がある、と菊池秋雄の報告があります。
 HOSTA LIBRARYにあるH. ‘White Fairy’を画像で見る限り H. plantaginea  なのですが、中国で栽培されていることや異名(syn.)に Yu Lei とありますので、Yu=玉でわかるのですが、Lei については不明です。これもひょっとしたらその品種かもしれませんね。
 八重咲きの品種には、前川文夫が H. plantaginea f.aphrodite で1940年に学名発表。意味は、マルバタマノカンザシの一型で、愛と美の女神の形容。標準和名がヤエノマルバタマノカンザシね。日本にも入っていたけど、第二次世界大戦で絶滅して関係者は落胆。 海外では、園芸品種名で、H. plantaginea ‘Aphrodite’。異名でH.‘Chingbanyuzan’とも呼ばれるらしいけど、玉簪花=yuzanhuaの中国読みなわけ。アルファベットとだとチンプンカンプンでしょ?この情報は、中国語の得意な園芸仲間に訳してもらったの。Ching の意味は漢字を見なきゃ分からないって。「八重」には「多葉」とか色々な形容があり、その発音に該当する漢字はわかりませんでした。H.‘Venus’という八重咲き品種があって、Aphrodite(ギリシア神話)もVenus(ローマ神話)も同じ意味だから、異名かと思っていたけど侮っちゃいけませんね。(^^) H.‘Venus’はH.‘Aphrodite’から選別したより多花弁の八重咲き品種でした。H.‘Royal Standard’やH.‘Invincible’には極希に八重咲きの個体があるようだけど、これってH.‘Aphrodite’系を母体に使っているんじゃないかな?だって、ギボウシの八重咲きは、おしべが弁化して出来るから葯が無くなるもんね。(^_^)v H.plantagineaそのものが、おしべの付き方や習性が他のギボウシと違い、ギボウシ亜属に分類されるけど、謎が深まるよね。
ちりふ ●散斑(ちりふ) 細かい白や黄の点が全面に入る場合をいう。斑の大きさや状態によって砂子斑、星斑とも呼ばれる。母性遺伝性なので種子より遺伝する。覆輪同様に散中斑などの中斑との組み合わせもあるよね。
なかすけ ●中透け(なかすけ) ランの中斑に名付けられたもの。ランには二重覆輪の品種が多いのでこれを「中斑」といい、中央部が斑色のものを「中透け」と区別する。ギボウシには不適切な用語ですね。
にしき ●錦 斑入りに形容される語句で、日本名の品種って、交配種でも自然変異品でも「○○錦」にしたがるよね。これもコテコテ園芸系の流れからなのかな?縞斑のものによく目にするネーミングですよね。
 自生品では、斑が覆輪や中斑に移行する前に、自然淘汰されてしまうでしょう。自然の中で見つけた美しさ=珍しさ=希少性=高額・・・ギャー止めときましょ(^◇^)
のちくらみ ●後暗み 葉の発生時に斑入り部分が鮮やかだが、生育につれて地色に近くなってくる。これ、覆輪でも中斑でも縞斑でも網斑でも同じことで、その斑色が白系でも黄色系でもちろん同じね。No. Re^2: はじめまして その4 の「手中の玉」でも少し触れたけど、白斑が後暗みになるのは、細胞中の葉緑素が増加してくるため。
のちさえ ●後冴え 葉の発生時に斑入り部分が地色に近い色だが、生育につれて次第に斑の色が鮮明になること。
ばいたい ●倍体 ギボウシ属の染色体数は、2n=60で、基本数は30です。
ムラサキギボウシが4倍体で、ツボミ&サクハナギボウシは3倍体です。
コルヒチン処理で新品種を作ってみる?コルヒチン0.05%溶液を発芽中の種子や若い芽に浸すだけ。これで倍数体が得られるようです。浸出時間は、半日から一日です。根はデリケートなので、地上部を浸します。処理後は数時間多量の水に浸して、通常に植え付け。処理後、肉厚な葉が現れれば成功。通常通りの成長なら無効。
 手元の資料だと、コルヒチンの入手が難しいときには、コルチカムの球根のすりおろしで代用できるんだって。ギボウシ属の結果は、大型化して葉が肉厚になり、葉に艶のあるものも出来ます。トクダマだけは例外だって小さくなります。
はけこみふ ●刷毛込み斑(はけこみふ)掃き込み斑(はきこみふ) 葉の主脈から縁に向けて斑が入る。双子葉植物のみの斑の形容。
ひかりふ ●光斑(ひかりふ) 枝先の葉が常に黄色のもので、後暗みの性質をもつ。金芽ツゲなんかが有名だよね。「三光斑」なるものは色を組み合わせた造成語じゃないかな?ギボウシには不適切な用語ね。
ひめ ●姫 「悪習」を参照
びゃっこ ●白狐 山野草系雑誌のスクラップに2点あったから、そこからコメントします。レンゲギボウシの白紺覆輪で後くらみ。白斑が夏頃には緑一色になるところから「狐に化かされた」状態(~_~)。
レンゲギボウシの突然変異の白中斑じゃないかな?商業カタログでもこの名は見かけなかったし、山野草界で手から手へ渡されていた感じがします。ネーミングからしてそう思うし、水栽培用に水苔玉仕立てのものが、安価で販売されているところをみるとギボウシの品種が限られていた時代にあったものだと思います。ん?だとしたら、H. ‘Fortunei Albopicta’(黄中斑レンゲ)は、白くないでしょ。 Albo=白い、picta=絵柄のはずだから。H. ‘Fortunei Albopicta’自体の斑が黄色に変化して、今日の品種なのかなぁ?って思っていたの。学会に提出されたレポートや押し葉標本でも見れば確認できるけど、現状の園芸界に準じましょっと(^O^)
●斑 斑の色は、大きく分けて白色と黄色があるでしょ。『斑』は一個所に集まりたがる。縞斑や流れ斑は、緑部分と斑部分とに分離しやすく、斑が葉の縁(覆輪)や中央(中斑)に変化する。古くから日本で株分け繁殖されている H. ‘Yellow Splash’は、ほとんどが「黄色の撥ね付け」ではなくなり、黄覆輪の品種H. ‘Yellow Splash Rim’に変化していますね。和風な名前の品種にも斑が移行したものに’輪○○、中斑○○とありますものね。洋種にも○○ Rim とあるものの親は、縞斑が多いですよね。HOSTA LIBRARYにある H. ‘Dorothy Benedict’(縞斑品種)は、H. ‘Frances Williams’(黄覆輪)の実生(自家受粉)で生まれた品種ね。この画像を見て思ったの、あぁ「先祖帰り」してるなぁ、って。ここの画像の中にも黄覆輪に移行してる葉があったから、この個体の株分けは覆輪に戻る可能性が大きいですね。斑部分と緑部分が点在する縞斑は、遺伝性が高く、実生でも斑入り個体が選られます。縞斑品種のH. ‘Swoosh’, H. ‘Neat Splash’, H. ‘Yellow Splash’などは、よく交配親に用いられやすいの。日本でも趣味家が使っています。ああ、そうそう。上記の交配で出来た子は、縞斑ですが、年数が経てば斑が移行して覆輪や中斑になることもあります。新品種になるかな?
ふいり ●斑入り 斑入りとは、個々の植物が持つ本来の色とは異なる色の部分が色々な状態で混入すること。園芸的には葉や花のことを指しますが、とくに葉のことを指します。
ふくりん ●覆輪(ふくりん)、外斑(そとふ) 葉の縁が斑色になった斑入りで、色により白覆輪、黄覆輪など。斑部分の面積により糸覆輪、細覆輪、深覆輪など。状態により覆輪くずれ、覆輪縞、砂子覆輪など。
まるばたまのかんざし ●マルバタマノカンザシ マルバタマノカンザシのほうは、1789年頃に中国大陸より欧州へ。荘厳な草姿、「聖なる花=ユリ」のイメージ、有香性が好まれる。自家・他家共に完全稔性で、ギボウシの品種改良に、有香種の分野が生まれる。この種の日本への導入は昭和初年と意外に遅く、林博太郎氏により欧州から、菊池秋雄氏により北京から京都植物園に入る。当時は一部の愛好者によって栽培され、一般的ではなかった。日本での栽培品は全体に、佗び寂びの感があり長葉。長い栽培歴史の中で、変異したものであった。前川文夫により1938年に学名を H. plantaginea var. japonica(日本の変種)となる。中国産の基本種には、菊池秋雄により1935年に標準和名マルバタマノカンザシとなる。
みしょう ●実生 有性繁殖で主に種子まきのこと。斑入り品種のキーワードを…。
 機会があったら、散り斑品種の花茎を観察してみましょう。ここにも斑が現れています。未確認ですが、受精した実にも斑が入るはず。ここから得られた種子は、高い確率で斑入りが発生します。で、実生のお話。覆輪種からの斑入りの出現が皆無なのは、花茎が緑色のため。中斑種から高い確率で黄金葉が現れるのは、花茎が斑部分の色のため。両種の花茎とも苞に、葉のように斑模様がありますでしょ?この斑の遺伝子情報が子房に伝わっていれば、斑入りの発生も期待できますが、極々希なことでしょう。植物の種子繁殖は、広い場所に種族維持を図るもので、虚弱な個体は生産しないところにありますからね。
むらきぎぼうし ●ムラサキギボウシ ムラサキギボウシの繁殖手段ね。無性生殖(apomix)の中でも特殊な無配生殖(apogamy)をします。植物は、おしべとめしべがくっついて受精(fertilization)するのが一般的ですね。無配生殖とは、受精をしなくても種子が出来ちゃうことです。この種子は混じりっけのない母体と同一遺伝子型(clone)のものね。身近な植物だとね、セイヨウタンポポがありますね。
やくしま ●屋久島 「悪習」を参照
よれば ●撚れ葉 ここでは斑入り品種について。スジギボウシのように撚れ葉になるのは、斑部分と緑部分と境目の組織がなじまないために起こりやすく、斑部分が広ければ広いほど波打ちますでしょ? H. ‘ White Christmas’ とそのスポーツの H. ‘Night Before Christmas’の例のようにね。
らしゃば ●羅紗葉(らしゃば) ラシャといえば、羊毛を高温やアルカリで縮ませたフェルトですね。葉が厚くなり表面に凸凹が現れた状態でしょう。ところがこの「羅紗葉」なるものの画像をネットで見ると、怪しい・・・。ウィルスに罹患しているらしき株があるのですよ。’渦の舞’ は伸長細胞の横が正常で縦が異常を起こしたために、ずんぐりちゃんになった品種だものね。葉面は滑らかね。組織の異常が「羅紗葉」のメカニズムなのはわかるけど、その原因が遺伝なのか生物(ウィルス)によるかで大問題ですよ。伝染性のあるウィルスだったら、そりゃあもう大変!コレクションの中に持ち込むようなことはしたくないでしょ?ウィルスの検査は電子顕微鏡や特定の植物に接種するなどして行われます。特殊な器具や費用はマニアにおいて難しいし、なにより大切なコレクションを犠牲には出来ない。あ、でも、ウィルスは種子からの伝染率が非常に低いので、実生系で固定した品種なら、ほぼ安全だと思います。

【ラテン語(学名)編】

alba
albopicta 白く彩られた
amplissima 最も大きい
angustifolia 細葉
aurea 黄金色
aureomaculata 黄金色の斑点
aureomarginata 黄金色の縁取り
aureonebulosa 黄金色の星雲
aureostriata 黄金色の縞模様
australis 南の
bella 美しい
brevifolia 短い葉
caduca  早落性の
campanulata 鐘型の
caput-avis  頭を垂れる
elata  背の高い
elatior より高い
elegans 上品な
erromena 著しい苞葉
ensata 剣型の
flavocircinalis 黄色い渦巻き状の
flavoplanata 黄色く平らの
gigantea 巨大な
grabla 無毛の
hippeastrum アマリリスの
hyacinthina サファイア色の
hypoglauca 下面が灰青色の
hypophyla 葉の下面の
latifolia 広葉の
liliflola ユリ属に似た花を持つ
longifolia 長い花を持つ
macrophylla 大きな葉の
mediovariegata 中斑
normalis 正規の
obscula 暗色の
parvifolia  小さな葉を持つ
petrophila  岩が好きな
polyneuron  多くの脈を持つ
pruinosa  白粉のある
rugosa   しわの寄った
sachalinensis  カラフトの
sparsa  まばらな
spathulata  さじ形の  
stenantha  せまい花の
tosana  土佐の
variegata 斑入り
viridis  緑色の
vulgata  普通の

【英語編】

Broadly centered 広中斑(ひろなかふ) 
Broadly margined 深覆輪(ふかふくりん) 
Centered 中斑(なかふ) 
Dusted 砂子斑(すなごふ) 
Margined 覆輪(ふくりん)
Mottled 散斑(ちりふ) 
Reticulated 網斑(あみふ) 
Splashed 刷毛込み斑(はけこみふ) 
Streaked 条斑(すじふ) 
Striped 縞斑(しまふ) 
Thinly margined 糸覆輪(いとふくりん) 

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